来たれ てきすとぽい作家! 800字小説バトル
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目的
投稿時刻 : 2014.10.26 23:53
字数 : 800
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目的
山田佳江


「少し前に、そこの駅前広場に高校生がたくさんいたんだよ」
「修学旅行シーズンだからかしら。ところで話てなに?」
「目的はもうすんだよ」
「え?」
「なにか注文してきたら。これ? エスプレソだよ。きみはこういうのは苦手だろう」

「で、話てなに?」
「それ、なにを買てきたの?」
「コーヒーよ。普通の『本日のコーヒーてやつ」
「へえ、本日のコーヒーてなんだた?」
「そんなの覚えてないわよ。どかの地名みたいな名前のコーヒー。なによその顔。で、なにか話があたんでしう」
「きみを待ている間、この窓から駅前広場を見ていたんだ。制服を着た高校生が集合して、整列し、それから町のほうへ向かて飼い慣らされた山羊のように歩いて行くのを見ていた」
「待ち合わせに遅れてきたのは悪かてば。メールを送た時には、もう会社を出るつもりだたのよ。だけど急に部長に呼び止められて。しうがないでし
「少ししか待てないよ。僕だて部下に指示を出してから退社したんだから」
「長い時間待たされたていう嫌味じないの?」
「もちろんそんなつもりじないよ」
「私に話したいことがあるて、言てなかけ」
「きみに話したいことがあた。でももう終わた」
「私はここに来たばかりだし、コーヒーてまだ半分も飲んでない」
「それおいしい? 本日のコーヒー
「別に、普通のコーヒーの味よ」
「だけど本日のコーヒーは、毎日違う味なんだろう」
「毎日飲んでるわけじないから分からないけど、普通よ」
「普通の毎日、なるほど。あるいはそういうものなのかも知れないね」

「だから、なにか話があるんじなかたの」
「つまりはこういうことだ。対話には当初目的があた。だけどそれは足早に片付けられ、あとには対話のための対話が残る」
「よく分かたわ」
「理解してくれたかい」
「対話のための対話なんて、とてもイライラすることが分かた。私たち別れましう」
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