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〔 作品1 〕
投稿時刻 : 2017.12.14 20:32 最終更新 : 2017.12.14 20:34
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更新履歴
- 2017/12/14 20:34:12
- 2017/12/14 20:32:57
やさい
たかはし@普通種を愛でる会


「話せばわかる」
犬養は確かにそう叫んだつもりだた。
だが、座敷に軍靴のまま駆け込んできた軍人に拳銃を突き付けながらの叫びはどうしても呂律がおかしくなてしまい、将校たちの耳には「ブロコリー」としか聞こえなかた。

ブロコリー
将校たちは耳を疑た。
この国の未来を憂い、自身と自身の家族に辞世を残してまで決行したクーデターである。
その結果が、拳銃を突き付けた首相が、「ブロコリー」?

当然将校は、殺気立た声で聞き返す。「ブロコリーとは!?」

犬養は困惑した。話せばわかる、と諭した結果が「ブロコリーとは?」である。
謎かけか。私を試すつもりか。

犬養は徐々に落ち着きを取り戻してきた。

若造が。皇国の総理を軽く見るなよ。

「やさいだ」犬養は静かに、八百屋の店頭でふとブロコリーを見つけた時のような落ち着きをもて答えた。

座敷に銃声が鳴り響いた。
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