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カウントダウン
画面の中の女の子のもとに、ケーキが差し入れされます。
わたしたちは自分たちの生活を忘れて、画面を見つめ続けて、今が何時なのかまるで気にしていませんでしたが、ちょうど三時を回ったところのようです。
思い出してみてください。
あの男の人は、まるで何日も食べていない様子でした。
彼にもケーキは差し入れされていたのでしょうか。
今となってはもう誰も気にも留めていません。
そうして、女の子がその部屋に慣れて来た頃。
右隅の真ん中のあの数字――わたしたちが先ほど気付いた、この番組の重要な要素――が3桁になってしばらく、カウントダウンの巻き戻しは止まってしまいました。
これはどういうことなのでしょうか。
色々と考えますが、結局答えは出ません。
そのうち、夜になってわたしたちはテレビを消して眠ってしまいます。
次の日になって、わたしたちはまた、あの番組にチャンネルを合わせます。
見ると、少女はまだ眠っていて、右隅のあの数字はまたゼロに戻っていました。
しばらくして、ゼロから1桁、2桁、と数字が増えていきます。
カウントダウンもやはり巻き戻しされます。
しかし、右隅のあの数字が止まると、カウントダウンの巻き戻しも止まってしまいます。
さて、女の子がようやく目を覚まして、眠気を手でこすっている間に、朝食が差し入れされます。
そこで女の子は、昨日はしなかった行為をわたしたちに見せるのです。
わたしたちに向かってこうべを垂れて、何か口を大きくゆっくり動かして。
あ、り、が、と、う。
そのようにわたしたちには見えました。
まるで、わたしたちにお礼を言っているかのようです。
そういえば、この部屋の住人は、こちら側に放送されていることを知っていました。
以前の男の人も、わたしたちに何度も訴えかけていました。
この彼女の行為は、一体何を意味しているのでしょうか。
単純に放送期間が延長されて喜んでいるのでしょうか。
そうなると、あの男の人の表情は一体何だったのでしょうか。
彼女たちは、わたしたちには分からないこの番組の他の要素について知っているのかもしれません。
とにかく、わたしたちは、分かったようで分からないこの番組を見続ける他ありません。
この番組の名前は――
『アイズ‘ ルーム』