第42回 てきすとぽい杯〈紅白小説合戦・紅〉
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最後まで聞けって
茶屋
投稿時刻 : 2017.12.09 22:40
字数 : 969
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最後まで聞けって
茶屋


「冥途の土産に聞いてくれ。これは俺の先祖の話だ。驚くのかよ。誰にだて先祖はいるだろ。あの聖人にも、あの極悪人にも先祖てもんがいるんだ。ともかく、こいつは俺の先祖の話だ。ま、聞けて。そう死に急ぐなよ。お前がくたばるのが今だろうが五分後だろうがそう大差ないだろう。大差はない。そうさ、大差はないのさ。俺の先祖は、大体五代位前の前の先祖なんだが、戦争の時代に生まれたわけだ。といてもこの国はいつだて戦争している。曾曾曽孫の俺ですら戦場にいるんだからな。戦争のない時代に生まれる幸福な連中はこの国には存在しなくて、生きてる間に一回くらいは戦場に立つのが国民の証てくらいだからな。ああ、だからこれは戦争の話だ。その時代はまだエグゾ骨も開発されてなかたからな。骨で戦てたんだ。想像できるか? 骨だぜ? エグゾじないんだ。俺の曾曾曽爺も骨に乗て戦ていたんだ。エグゾみたいに人工神経みたいな制御がないんだ。今みたいに髄につないで直接操るなんてはできね。背中の椎に集中している筋を引たり押したりして操作してたんだ。アナログだよ、アナログ。でもありがたいのは調子が悪い時は叩けば大概治るてことでね。肝が飛び交う戦場てのは今と変わりねけどよ。今みたいに連射も聞かねし精度も悪い。それでも曾曾曽爺は肝飛ばし盟主だたんだぜ。三里離れた敵陣のウルニケ野を破壊したていうんだからな。大したもんだろ? でも、曾曾曽爺ちんがもとすごかたのは近接接合だ。曾曾曽爺ちんの腸さばきはすごかたらしい。エグゾになてから腸を好んで使う奴なんて、ほとんどいなくなたけどよ、俺はそれに憧れてこの腸を使い続けてるんだ。曾曾曽爺ちんの腸だ。百戦錬磨の腸だ。俺の系統は肝が飛び交て、骨がぶつかり合う戦場を生き残てきた。肝が頬すれすれを掠めて行て、後ろにいた奴の頭蓋をぶち抜く。アバラに切り裂かれた仲間が、最後の気力を振り絞て喉頭を破裂させる。最新式の顎を、旧式の腸で絡めとり、引き絞て破壊する。淘汰戦の戦場じ古臭い戦い方かもしれないけどな、昔ながらのやり方てのはそれなりに馬鹿にできない。何より、かこいい。昔ながらの戦い方てのはある種の美学てもんだ。生き様てもんだ。超痺れるだろ? 痺れろよ。そして、痺れながら死ね」
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