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◆hiyatQ6h0cと勝負だー祭り2025秋
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しろぴあ
(
根岸 豪志
)
投稿時刻 : 2025.11.03 23:30
最終更新 : 2025.11.03 23:34
字数 : 10406
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2025/11/03 23:34:08
-
2025/11/03 23:30:17
しろぴあ
根岸 豪志
第1話しろぴあ
下北沢を中心に活動してる中堅ガー
ルズバンドのしろぴあ。そのボー
カル、ギター
がきー
ち
ゃ
んである。東京近郊を中心に千葉、埼玉、神奈川のライブハウスを定期的にツアー
して回
っ
ている。
同時に、きー
ち
ゃ
んは動画配信サイト「ポコチ
ャ
」のライブ配信も積極的に行
っ
ていた。副収入の確保としろぴあの宣伝などがおもな目的であ
っ
たが。ガー
ルズバンドしろぴあの固定フ
ァ
ンは順調に増えてい
っ
た。
そんなある日、ポコチ
ャ
の配信に自称作家、哲学者のponziさんというリスナー
が現れた。最初は面白いおじさんだなという程度の印象であ
っ
たが、次第にその話の深さ、面白さに引き込まれてい
っ
た。
第2話ponziさん
下北沢の小さなライブハウスの薄暗い照明の中、ガー
ルズバンド「しろぴあ」の演奏が始まる。ボー
カルでギター
のきー
ち
ゃ
んが掻き鳴らす力強いコー
ドに乗せて、少しハスキー
な歌声が響き渡る。観客はまばらだが、それでも彼女たちの音楽には確かな熱がこも
っ
ていた。
「しろぴあ」は、きー
ち
ゃ
んを中心に結成された中堅バンドだ。東京近郊のライブハウス、千葉、埼玉、神奈川とい
っ
た場所を定期的にツアー
で回り、地道にフ
ァ
ンを増やしてきた。ライブハウス特有の熱気と、きー
ち
ゃ
んの飾らないMCが、じわじわと彼女たちの音楽を広げていた。
そんな中、きー
ち
ゃ
んは動画配信サイト「ポコチ
ャ
」でのライブ配信も積極的に行
っ
ていた。主な目的は、細やかながらも副収入を確保することと、何よりもバンド「しろぴあ」の宣伝だ
っ
た。ライブの告知はもちろん、日常のち
ょ
っ
とした出来事や音楽への想いを語ることで、彼女の飾らない人柄に惹かれる固定フ
ァ
ンが着実に増えてい
っ
た。
ある夜のことだ
っ
た。いつものように自宅の一室から配信を始めたきー
ち
ゃ
んの画面に、「ponziさん」という見慣れない名前のリスナー
が現れた。最初は、コメント欄に時折現れる面白いおじさん、くらいの印象だ
っ
た。しかし、ponziさんの書き込む言葉は、他のリスナー
とはどこか違
っ
ていた。
何気ないきー
ち
ゃ
んの言葉尻を捉え、ふいに深い哲学的な考察をしてみたり、時には誰も思いつかないような奇抜な視点から日常を切り取
っ
てみたり。そのコメントは、最初はきー
ち
ゃ
んを戸惑わせたが、次第にその話の深さと面白さに彼女は引き込まれてい
っ
た。配信が終わ
っ
た後も、ponziさんのコメントが頭の中で反芻されることが増えてい
っ
た。
「一体どんな人なんだろう、このponziさん
っ
て…」
きー
ち
ゃ
んは、画面の向こうにいる見えない哲学者の存在が、少しずつ気になり始めていた。
第3話お金では買えないもの
きー
ち
ゃ
んがポコチ
ャ
の配信を続けるうちに、ponziさんのコメントは彼女にと
っ
て、もはや毎晩の楽しみとな
っ
ていた。他のリスナー
との軽快なやり取りの中に、ふと現れるponziさんの深遠な言葉は、まるで静かな夜空に輝く星のようだ
っ
た。時に難解で、すぐに理解できないこともあ
っ
たけれど、その奥にはいつもハ
ッ
とさせられるような新しい視点があ
っ
た。
ある日、きー
ち
ゃ
んがふと漏らしたバンドの歌詞に対する悩みに、ponziさんはこんなコメントを書き込んだ。
「言葉とは、感情の断片であり、思考の残滓である。それを繋ぎ合わせ、意味を与えるのは、聴く者の想像力に他ならない。売れる歌が良い歌とは限らない。真に響く歌は、聴く者の魂を揺さぶる問いかけなのだ。」
きー
ち
ゃ
んはこの言葉が妙に心に引
っ
かか
っ
た。売れないことへの焦燥感、も
っ
と多くの人に届けたいという渇望。そんな彼女の胸の奥底にあるモヤモヤとした感情を、ponziさんの言葉は静かに、しかし確実に刺激した。
それから数日後、きー
ち
ゃ
んは勇気を出してponziさんにメ
ッ
セー
ジを送
っ
てみた。「いつもコメントありがとうございます。もしよか
っ
たら、今度バンドのことで相談に乗
っ
てもらえませんか?」
しばらくして返
っ
てきたメ
ッ
セー
ジは、意外にもあ
っ
さりとしたものだ
っ
た。「構いませんよ。下北沢によく出没します。近いうちにどこかでお会いしまし
ょ
う。」
数日後、きー
ち
ゃ
んは下北沢の小さなカフ
ェ
で、初めてponziさんと対面した。そこに現れたのは、配信のコメントからは想像もしていなか
っ
た、くたびれたヨレヨレのジ
ャ
ケ
ッ
トを着た、痩せた中年男性だ
っ
た。目は深く、知的な光を宿しているものの、全体的にどこか陰鬱な雰囲気を漂わせている。
「あの…ponziさんですか?」
「ええ、私がponziです。あなたは…きー
ち
ゃ
ん、さんですね。」
二人の間には、ぎこちない空気が流れた。きー
ち
ゃ
んは、も
っ
と気難しい哲学者を想像していたのだが、目の前のponziさんは、どこか所在なさげで、話しかけづらい印象だ
っ
た。
しかし、バンドの話、そして歌詞の話になると、ponziさんはまるで別人のように饒舌にな
っ
た。彼の口から語られる言葉は、音楽の根源的な力、言葉の持つ多義性、そして聴く者の心に深く突き刺さるメ
ッ
セー
ジの重要性など、きー
ち
ゃ
んがこれまで考えたこともなか
っ
たような視点に満ちていた。
その日を境に、きー
ち
ゃ
んとponziさんの間には、不思議な交流が始ま
っ
た。ライブの後、きー
ち
ゃ
んはponziさんにその日の演奏や観客の反応をメ
ッ
セー
ジで伝え、ponziさんはそれに対して、時に辛辣でありながらも本質を突いた批評や、新たな視点を与えてくれる言葉を送
っ
てきた。
そしてある時、きー
ち
ゃ
んは思い切
っ
て、ponziさんに新しい曲の歌詞の相談を持ちかけてみた。「今作
っ
てる曲があるんですけど、どうしても言葉がし
っ
くりこなくて…もしよか
っ
たら、何かヒントをいただけませんか?」
ponziさんからの返事はすぐに来た。「どのようなテー
マの曲ですか?」
「え
っ
と…『お金では買えないもの』について歌いたいんです。」
その日の夜、ponziさんから送られてきたのは、数行の短い言葉の断片だ
っ
た。
「富は砂の城、愛は不朽の宝石。価値は秤にかからず、心に宿る。」
「過ぎ去る時は金なり、だが、刻まれた記憶は永遠。今を生きる意味を問え。」
きー
ち
ゃ
んは、その言葉を見た瞬間、鳥肌が立
っ
た。それは、彼女が漠然と感じていたことを、研ぎ澄まされたナイフのように鮮やかに表現していたからだ。
この言葉を元に、きー
ち
ゃ
んは一気に新しい曲を書き上げた。タイトルは、ponziさんの言葉から取
っ
て「お金では買えないもの」、そしてもう一曲、「今を生きる」。
下北沢のライブハウスで初めてこれらの曲を演奏した時、観客の反応はこれまでとは明らかに違
っ
ていた。言葉の一つ一つが、まるで聴く者の心に深く染み渡るように響き、演奏が終わ
っ
た後には、これまで以上の大きな拍手が送られた。
ponziさんの言葉が、彼女たちの音楽に新たな息吹を吹き込んだのだ。そして、それはまだ、小さな波紋に過ぎなか
っ
た。
第4話今を生きる
しろぴあのコンサー
トは次第に盛り上がりを見せてい
っ
た。
「次は新曲です。「お金では買えないもの」」
きー
ち
ゃ
んはオー
デ
ィ
エンスにあいさつし、ゆ
っ
くりとギター
を奏で始めた。
「あらゆるものがカネで取引される時代。市場原理主義は正しいのか?だが、やはり何かがおかしい
民間会社が戦争を請け負い、臓器が売買され、公共施設の命名権がオー
クシ
ョ
ンにかけられる
結局のところ市場の問題は、実はわれわれがいかにして共に生きたいかという問題なのだ
大事なのは、出自や社会的立場の異なる人たちが日常生活を送りながら出会い、ぶつかり合うことだ
なぜなら、それがたがいに折り合いをつけ、差異を受け入れることを学ぶ方法だし、共通善を尊ぶようになる方法だからだ
われわれが望むのは、何でも売り物にされる社会だろうか。それとも、市場が称えずお金では買えない道徳的・市民的善というものがあるのだろうか
自分の意志で自分の身体を売
っ
て、何が悪いのか?プレゼントの代わりに現金を贈るほうが合理的では?
あるものが「商品」に変わるとき、何か大事なものが失われることがある。その「何か」とは?
結局のところ市場の問題は、実はわれわれがいかにして共に生きたいかという問題なのだ
大事なのは、出自や社会的立場の異なる人たちが日常生活を送りながら出会い、ぶつかり合うことだ
なぜなら、それがたがいに折り合いをつけ、差異を受け入れることを学ぶ方法だし、共通善を尊ぶようになる方法だからだ
われわれが望むのは、何でも売り物にされる社会だろうか。それとも、市場が称えずお金では買えない道徳的・市民的善というものがあるのだろうか
われわれが望むのは、何でも売り物にされる社会だろうか。それとも、市場が称えずお金では買えない道徳的・市民的善というものがあるのだろうか」
圧巻のパフ
ォ
ー
マンスだ
っ
た。聴衆の歓声が鳴り止まないうちに、きー
ち
ゃ