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第二回、でぎずどぼい杯
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二合目(聖犬ワン公)
健太
 投稿時刻 : 2014.03.05 13:38 最終更新 : 2014.03.05 13:45
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更新履歴
- 2014.03.05 13:45:54
- 2014.03.05 13:38:35
二合目(聖犬ワン公)
健太


犬にエサを与えながら、男はその犬との出会いについて思い返していた。それは八年前に遡る。 早朝の駅前の公園で段ボールに入れられているのを発見してからだ。

「何だこり?」最初に見た際、男は目を丸くした。見た目はまだ生まれて間もないような仔犬のようだが、やたらデカイ。後で知ることになるが、それは超がつくほどの大型犬種であた。

「困たな…」男は、段ボールの中の仔犬を見下ろしながら呟いた。「てか、誰だよ、俺の家に捨てて行た不届き者は…」男はホームレスだた。本人は旅人と称していたが、公園に段ボールとブルーシートで家を作り、そこを住まいとしていた。

犬はその日から、いつまでたても男の元を離れようとしなかた。雨の日も風の日も雪にも夏の暑さにも耐え、男の寝床に住み着いた。かといて、男になついていたワケではなく、雨風を凌ぐために、何より公園を利用する人からエサを貰えるのを期待してであた。

あれから八年。相変わらず男の元から離れず、今もこうしてダラダラと納豆のようなヨダレを垂らしながら、黙々とエサにかぶりつく犬を見ながら男は思た。「どおりで捨てられるはずだ」と。

これまで犬を見た多くの人はみんな口を揃えたように「あ、知てますよ。確かセント・バーナードでし?救助犬で有名で、確かフランダースの犬ですよね?」と男に話かけてきた。「違うよ。それはハイジだて…」いつもそう言い返そうと思たが、面倒なので男は大抵話を合わしていた。

「みんな知らねー。大体、何がセントだ。実態はヨダレ垂らしながら食べてはゲプし寝てばかり、たまに起きたかと思たらウンコか小便。聖なる感じはこれぽちもしない。救助犬て、救助されるほうの間違いだろ…」男はずとそう思てた。「しかし、何でセントなんだろ?」

知りすぎていた男でも、それは後々までなかなかわからなかた。修道院で飼われてたからという話を耳にしたことはあたが、だからと言て、さすがにセントはないだろうと思た。セントの本当の意味がわかたのは最近のこと。犬も歳を取り、恐らくこのまま童貞で生涯を終える可能性が高くなたと知てからである。

男はエサを食べ続ける犬に向かい「お前は確かにセントだたよ。童貞であると知てる俺が保証するよ。に比べ、俺は女という生き物も知りすぎてしまたよ…」と言葉をかけた。

すると、犬は何を思たか、急に暗い山の中を上をめがけ駆け始めた。「おいおい、マジかよ。もしかして怒たの?」男は取るものとりあえず、犬を追て、まだまだ暗い山道を月明かりだけを頼りに登り始めた。
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