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第12回てきすとぽい杯 誤字修正版投稿所
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脱出ポッドの三人
(
るぞ
)
投稿時刻 : 2013.12.18 02:19
最終更新 : 2013.12.18 02:29
字数 : 2259
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2013/12/18 02:29:03
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2013/12/18 02:19:27
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脱出ポッドの三人
るぞ
俺たち三人だけが、脱出ポ
ッ
ドから出ることが出来た。
他はそもそも乗ることさえ出来なか
っ
た。みな爆発する宇宙船の中で死んでしま
っ
た。
降り立
っ
た俺達が、振り返
っ
てまず最初に見たものは、無論のこと命を助けてくれたポ
ッ
ドの姿だ
っ
た。
燃え盛り、爆発を繰り返す宇宙船から脱出してきたためだろう。
脱出ポ
ッ
ドはう
っ
すらと焦げ付いていた。頼りなく見えるが、脱出の役には足
っ
てくれた。
ポ
ッ
ドは着地時の衝撃を抑えるための、重力調整機能を搭載しており、これは着地時の衝撃を抑えるのみならず、乗員が降りる際には、スムー
ズに活動できるよう、周辺の重力を地球と同じ強さに保つ機能がある。
おかげで俺達は、安全に外に出られた。
だが、同時に絶望も外には待
っ
ていた。
窓のないポ
ッ
ドから出た俺達が見たものは、案の定不毛の大地であ
っ
た。
生物が棲めるようには見えない。
それはそうだろう。
この辺りで、空気の層を保てるほどの大きさがある星は、MZ星の一つしかない。
MZ星はテラフ
ォ
ー
ムされているため、人間が生きていける濃度の大気があるはずだが、逆に言えばテラフ
ォ
ー
ムされたはずの土地が、こんなに不毛なわけもない。
他の星は小さすぎて、いずれも大気の層そのものがない。
と、宇宙服を着た同乗者のうちの一人(女ということは憶えている)が声を上げた。
「待
っ
て、あれ
……
なに?」
女が指差した方には、巨大な鉄くずの残骸とも言うべきものが聳え立
っ
ていた。
内部がむき出しにな
っ
た状態で、錆付いた巨大な鉄の塊。
俺は思い出していた。
遠い昔この近辺の宙域にあ
っ
たという、ステー
シ
ョ
ンのことだ。
確か何らかの事故で、俺達の宇宙船の様に爆発四散して、近隣の星々にパー
ツが墜落したらしい。
長い年月を感じさせるように、残骸はぼろぼろに錆付き、見る影もなか
っ
た。
「人の痕跡よ!! 人間の痕跡だわ!! 私たち助か
っ
たのよ!!」
女がふらふらと、錆付いたステー
シ
ョ
ンの残骸の方へと駆けてい
っ
た。
「おい待て
っ
」
俺の声はトランシー
バ越しで彼女に届いていたはずだが、女は振り向きもせず行
っ
てしま
っ
た。
「馬鹿女め
……
」
いや、馬鹿というよりはこの過酷な状況で、気がおかしくな
っ
てしま
っ
たのだろう。
長い間の宇宙船の楽ではない生活の後、ギリギリの状況で他の船員を押しのけて脱出ポ
ッ
ドにこぎつけ、たどり着いたのがこんな場所では、い
っ
そ彼女の様に狂気に走
っ
たほうが楽だ
っ
たのかもしれない。
どのみちあんなボロボロのステー
シ
ョ
ン跡に、まともに使える道具など残
っ
ているまいに。
「残
っ
たのは俺とお前だけか
……
」
「
…………
」
もう一人の同乗者は、しかし黙
っ
たまま、宇宙服のポケ
ッ
トに手をいれ、奇妙な柄のようなものを取り出した。
高周波ブレー
ドだ。血も流させず、何もかも焼ききる。
「だろうな」
俺は自嘲した。
それはそうだ。ポ
ッ
ドに残された物資は僅かだ。
わずかな代えの酸素パ
ッ
ク。わずかな水。
少しでも長く生き延びて、救助を待つには、とてもではないが二人分はない。
特に酸素は、一日ともたないはずだ。
うかつにポ
ッ
ドから離れた女には、もはやこれらの物資を手に入れる手段はなくな
っ
たと言える。
だが、残りはまだ二人いる。ならば、生きるためにすることなど、一つしかない。
中の人の姿を見た事がないため、性別も人種もわからない宇宙服の相手は、無言でこちらに切りかか
っ
てきた。
今俺が着ている宇宙服であろうと難なく切り裂けるだろう、高周波ブレー
ドだが、俺も無抵抗なわけがない。
ポ
ッ
ドに密かに持ち込んでいた、携帯用火炎放射器を構えて相手に向け、トリガー
を引いた。酸素と可燃物質の両方をまくため、宇宙でも使える代物だ
っ
た。
殺人だ、と迷
っ
ている暇はない。生きるか死かだ。
高周波ブレー
ドに火炎放射器の燃料をぶちまければ、地球では大爆発が起こ
っ
てどちらも死ぬだろう。
だが、ここは大気のない真空空間だ。リー
チではこちらに分がある。
俺は生き残るのだ。絶対に。
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