【BNSK】品評会 in てきすとぽい season 14
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名探偵上海
(夏SNOOPY)
投稿時刻 : 2015.08.21 22:52 最終更新 : 2015.08.31 20:19
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名探偵上海
夏SNOOPY


「あれ、あれ、あれれれれ? どこにもない……ない!」
「大変だー! 世界に一つしかない伝説のピザが盗まれた!」



「ふむふむ、なになに? ピザが盗まれた? それも、世界にただ一つしかないといわれる、黄金のピザが?」
「ええ、つい一月前に焼きたての、黄金のピザが盗まれてしまいました」
「一ヶ月前って、それ、食べられるんですか?」
「え、ええ……一応……」
 確実に腐ってるだろ、とは言えなかった。四川警部はこう見えても、食べ物の味が分からない。しかしそれにしても、なぜ黄金のピザといわれるのだろうか?
「このピザが黄金のピザといわれる理由……それは、このピザを炉に入れると一億度以上の熱を発し一ヶ月は燃え続けるからなのです。核融合炉を作れなくても、このピザならいくらでも焼くことが出来ます。焼いた後に更に焼く。ううん、ピザの道は奥が深い……」
「え、世界に一つしかないんじゃないの?」
「ええと、まあその辺はどうでもいいんです。あー、困ったなあ」



「ホーッホッホッホ!」
男A「この声は……世界一高貴なアイドル声優にして永遠の17歳、上海重慶24歳の笑い声!」
男B「上海重慶様の光臨だー! げほっげほっげほ!(あまりにも高貴すぎてむせる)」
 なお言うまでもないことだが、上海重慶はモテる。
「こんなのお茶の子さいさい、取り調べなんて必要ありませんわね。犯人は彼、コックに決まっているのですから!」



「ええ、俺!?」
「そうよ、白状しなさい!」
「あ、その人じゃないです」
「ええ! なんでよ!」
「彼は、3日前から友人と金沢観光に出かけていました。たった今帰ってきたところです。完璧なアリバイです。彼じゃありません」
「そう、つまり彼じゃない!」



 そんなことをやっているのを屋敷の二人の執事、北京と崑崙が見ていた。ちなみに事件は上海の屋敷で起こった。
北京「上海お嬢様の探偵気取りにも、ぐったりと疲れ果てて、いうことがありませんな」
崑崙「全くです。ですが、そんなところが可愛いんですな。ほら、あの得意げな顔! 写真取っておきましょうかな(パシャ、パシャリ)」
「捜査線を張って捜索しているのに見つからない、まことに不可思議です。犯人は未だに市内に潜伏していると思われます。しかし、犯人は密室から抜け出し、人通りの多い道、交番の前と進み、煙のように消えてしまった。目撃証言もありません」
「そう、これは密室事件ですぞ。屋敷の正門から出る為には、多くの召使と顔を合わせねばならないのです。かといって庭を通ったなら、交番の目の前を行き過ぎる必要がある。だが、目撃証言はない。どういうことなのか、この執事全く分かりかねます」
「はいはいはーい。簡単なことよ!」
「なになに?」
「私にはトリックが分かったわ! 簡単なことよ。犯人は、部屋から庭に出て、やはり大方の人の予想通り、人通りの無い裏道を通った。一本道で高いフェンスがある道だから、他に隠れたり、変な所を通ったりする余地はない。交番の前もきっと通ったはず。いったいどうして、犯人は見つからなかったのかしら?」
「ううむ……私には、どういうことだかさっぱりです」
「ふふ、あのね、犯人は交番の前を通ってないの。大ヒントよ!」
「……はあ、推理小説の主人公でもあるまいし、そんなヒントだの何だので真実に行き着くことなぞ、あり得ませんぞ。勿体ぶっていないで、早くご教授くだされ」
「仕方ないわねー、少しは自分で考えられないの? そんな干物みたいなヒョロヒョロの外見して、干物のほうが食べられるだけマシよねー。北京の目は節穴でございますか? って感じ? くー、これが言いたかったのよねえ!」
 溜まりかねて(上海の性格を考えた上で)崑崙が言った。
「さすがはお嬢様、既に真実にたどり着いておいでだ。しかし、それだけでは何の自慢にもなりませんぞ。みな、お嬢様の推理を耳に入れたく思っているのですから、早い所明かしてくださいませ」
「いい、犯人は……空を飛べる超能力者だったのよ!」
「は、はあ?」
「嫌ね。冗談よ」
「あの、お嬢様、トリックが分かったと大見得を切ってはみたものの、実は分からないのですか? そういうことでしたら、怒るものはおりませんから、早い所その旨をお伝えくださいませ」
「あのね、なんでもったいぶるか分かる? 皆にも考えてもらいたいのよ! 犯人の逃走経路はどこにあるのか。屋敷の正面まで召使達に分からないように辿り着いたのか、それとも皆嘘を付いているのか、それとも、犯人はやはり、召使達に会わないように庭から裏道に入って逃走したのか?」
「……からきし分かりません。完敗でございます、お嬢様」
「いい? じゃあ、いうわよ! 犯人は……」
 また上海が勿体つけた。
「犯人しか気付かない、とある経路を通って逃げ出したのよ!」
「犯人しか気付かない経路……?」
「そう、庭から通路を通って……ある場所に逃げたのよ。それは……



「マンホールの中よ!」
「マンホール? そうか、わかった。犯人は……」
「そう、蓋を外して、片手でピザを持って、もう片方の手ではしごを降りる。そして下水道に入る。途中でピザを落として、また拾ったかもしれないわね。そしてそれを食べる……おええ、気持ち悪!」
「そこまで想像しなくていいだろ!」
「四川警部、気にしないで! それで、犯人の潜伏先だけど、包囲網が広すぎて地下からは逃げられないと思うの。というか、私自身がマンホールから下水道に降りて確認したわ。そんな遠くまでは下水道が繋がってない。つまり犯人は、市内のどこかにいる。どこにいると思う? 四川警部」
「私には分かりかねるが……どこかの家に匿ってもらっているのか?」
「違うわ。あのね、これは第二の謎とでもいうべきもの。だから、私はあっさりとこれを教えたくはない。やっぱり、少し考えてみてくれる?」
「相分かった。しかし、時間をかけている間に犯人を取り逃がすことはないだろうか?」
「大丈夫よ。私は、犯人がどこにいるか知っている。絶対に他に逃げられない場所。困っていると思うわ。まあ、これがヒントね」



 数分後……
「分かったかしら? 犯人の居場所が」
「いや、さっぱりだ」
「あのね、犯人がいるのは、マンホールからほど近い公衆便所よ!」
「ああー、なるほどね……」
「もう2日目よね? きっと飢えて苦しんでると思うわ。そういうわけで、犯人を取り押さえるんだけど……慎重を期した方がいいと思うわ。そのために、作戦を考えてきたの」
「ほう、作戦?」
「まず、犯人のいそうな個室のドアの上の隙間から大量の汚物を流し込んで、ぐちゃぐちゃになったところで熱い油をどばーっとかける。それでスタンガンでビシバシ脅しながら逮捕。いいわね、行くわよ!」



「ぎゃああああ!!」
「あの、彼死ぬんじゃないですか?」
「大丈夫、次はもう一回、うんこをドバッと行くわよ」



「ぎゃあ、やけどにクソが染みるうう! ぐええええ!」



「もういいんじゃないですか?」
「もう一回だけ行っときましょう」



「熱い熱い熱い熱い熱い! あっちちっちちちち!」



「もう一回行っときましょう」
「もう、いいんじゃないですか」
「まだまだ!」



「ぎゃああああ、し、死ぬううううううう! 熱い熱い熱いいいいいい! ……」



「反応がなくなったわね。これで十分よ! さあ、突入!」



30分後……



 上海たちは、うんこと油でグチャドロになった黄金のピザを無事に奪還した。
「うわ、きったなーい。投げちゃえ。えい!」
「うわ、こっち向かって投げてくんな! 殺すぞボケ! 触っちまったろ!」



完
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