【BNSK】2016年11月品評会 
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たそがれの うみ。
有理数
投稿時刻 : 2016.11.20 23:56
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たそがれの うみ。
有理数


でんしの  きてきが  なりました。

あなたは  どんな  でんしに  のりたかた  ですか?

きれいな  でんし

それとも  こいい  でんし

それでも。

でんしは  とまることが  できません。

あなたは  もう、のて  しまたの  ですから。

ですから。

ていしえきまで。

すこし  おはなしを  しませんか。


あなたは、いま  がたがたと  でんしに  ゆられています。

どこに  むかて  いますか。

きれいな  けしきの  みずうみ?

それとも、だれも  みた  ことの  ない  くらい  よる?

それは、だれにも  わかりません。

けれど、あなたは  のりたい  でんしに  のろうと  おもたのに  ちがい  ありません。

いま  でんしは  どこに  むかて  いますか?


わたしも  また、でんしに  て  います。

くらい  くらい  だれも  みた  ことの  ない かなしい  たそがれの  うみへ。

たそがれが  くらい  なんて  おもた  ことは   ないかも  しれません。

あんなに  あかく、あなたの  かげを  みおろして  いるの  ですから。

でも、わたしには  しんかいの  こどくのように  くらい、くらい  ひかりの  ささない、まるで  すべての  おわりの  ように  みえます。


ほら、みて  ください。

あなたの  めには  ながれゆく  そうの  まどが  あります。

いろんな  けしきを  うつしては  きえて、すぎて   いきます。

あなたが  すきだた  あのこ。

えがおで  だれかの  かたに  よりかかて、すぎて  いきます。

あなたが  すきだた  あのゆめ。

きらびやかな  あかりを  ともして、あなた  いがいの  だれかを  ともして  います。

あなたが  いま、こころの  おくそこに  かくして  しまた  あのひとの  えがおも。

みえますよね?


わたしにも  みえます。

わたしが  あいした  あのひと。

いつまでも  かわらない  あの  えがおで。

と  そうの  そとで  てを  て  います。

その  えがおは  いろあせない  ままで。

と、ずと  てを  て  います。

ふりかえしても、あのひとには  みえませんから。

それでも  ふりかえして  しまいたく  なるのです。

それが、あい  という  もの  なのかも  しれません。

はやく、わたし  のこと  なんて  わすれて  しまえば  いいのに。

でも、そんな  こえは  とどきません。

て、わたし  たちは  ながれて  て  しまう  そうに  さえぎられて  いるの  ですから。


でんしの  きてきが  なりました。

けしきは  だんだんと  くり  となて、あなたの  みたく  なかた  けしきが  くりと、すぎて  いきます。

ぱい  した  こと。

わすれたい  こと。

と、こうして  あげたら  よかた。

そんな  こうかいの  こうずい。

みえない  ふりは  やめて、みつめ  ましう。

それが  あなたの、あなたが  いきた  あかし  ですから。


ほら。

みて  ください。

えきの  ほーむは、たくさんの  ひとで  あふれて  います。

みんな、いろいろな  かおを  して  います。

これからの  ことを  おもて、ものうげな  ひと。

あしたの  だれかの  ために、いきようと  みえない  あおい  ひかりを  もやして  いる  ひと。

あなたは  いま、どんな  かおを  していますか?    

そうに  うつる  あなたの  かおを  みてみて  ください。

と、あなたの  こころが  そこに  あります。


わたし  ですか?

あなたは  ふしぎな  ひと  ですね。

わたしの  ことを  きにした  ひとは、あなたが  はじめて  ですよ。

わかりました。

おおしえ  しましう。

わたしは  この  でんしの  こころ  です。

たくさんの  ひとびとを  のせて、たくさんの  おもいを  のせた  でんしの  うです。

でんしにも  おもいが  あります。

この  でんしに  て、あなたたちは  どうなて  しまうの  だろう  とか、この  でんしに  て   ほしく  なかた  とか。

いろんな  ことを  おもいながら、こうやて  あんない  してるの  です。

あなたの  たどりつく  いきさきを。


ほら。

どあが  あきましたよ。

この  でんしの  うちくえきは、あの  かなしげな  ひとが  のぞむ  くらい、くらい  たそがれの  うみ  です。

でも。

あなたには  まだ  おりる  えきが  あるで  しよう。

あなたを  みて、てを  てる  あのひとが  わたしには  みえますよ。


たくさんの  ひとが  て  きましたね。

わたしの  こえが  きこえますか。

とどきますか。

あなたの  おりる  えき  ですよ。

それでは。

また、あう  ひ  まで。

その  とき  まで、どうか  おげんきで。

わたしは  いつでも、あなたを  おまち  して  います。

またの  ごりようを。


でんしは  どこまでも  おわる  ことなく  つづいて  いく。

あなたが  おりた  あさの  ひかりに  つつまれた  えきを  とおくに  ながめながら。

(了)
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