てきすとぽい
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朝の情景コンペ
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黎明に風、一陣
(
わんた
)
投稿時刻 : 2013.05.04 14:06
字数 : 554
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黎明に風、一陣
わんた
遠い山暗く、広い空燈る
――――――
雄大なビー
カー
の底に沈殿した様な峰々と、裏側から照らされた様な蒼い上澄み。
淡い稜線に区切られた両者は、まるで違う場所から持
っ
てきた様に溶け合わなか
っ
た。
田舎の狭い盆地に住めば、床から出ると最初に目に入る対比。
顔を洗い、手探りでタオルを引き寄せる。
嘆息。眠りの誘惑を振り切らなければ、人間は一日が始まらない。
人間でない者は誘惑に負けることがないのだろうか、と窓を開ける。
風、一筋。夜の匂い。
この風がまだ山の向こうに居た頃、そこはまだ夜だ
っ
たのだろう。
東の空が金色を強め、ここは夜ではないと言い張る。
山の一部がそれに染まり、反射が目に染みた。
そろり、そろり。稜線にぶら下げられたカー
テンが引き開けられる。
山は眠ると言うが、今頃、目を擦
っ
ているのだろうか?
一陣、強い風。カー
テンが乱れる。
な
ぁ
んだ。山だ
っ
て、イヤイヤ叩き起こされるんじ
ゃ
ないか。
日が昇り、顔を出す。逆光でそちらの山は黒ずみ、光の槍があちらこちらに突き刺さる。
田、畑。道、家々。太陽が支配して行く。生きている者も、そうでない者も。
草々はぽとりと露を落とし、重みを失
っ
て次々に顔を上げる。
雀は群れて羽ばたき、さえずりながら上澄みの中を泳いで行く。
風が、また一筋。
もう、夜の匂いではない。
――――
さ
ぁ
、一日を始めようか。
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