肉小説
〔 作品1 〕» 2  6 
投稿時刻 : 2017.01.09 00:50 最終更新 : 2017.01.15 17:17
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- 2017/01/15 17:17:25
- 2017/01/09 00:50:40
鴨男
ゆきな(根木珠)


 久しぶりに会た友達は、鴨ロースになていた。
 僕は彼を見てよだれが止まらなくなた。
「ねえ、食べていいかい」
「良いわけないだろ」
 彼は怒りながらこちらを見る。
 僕は食い下がる。
「いいじないか、高校時代よく奢てやたろ」
「缶ジス一本で命までくれてやるやつがあるか」
「そこをなんとか」
「ばか言え」
 なかなか言うことをきいてくれない。やれやれ、またく困た悪友だ。
「佐藤!」
 僕は彼の名を呼んだ。
「なんだ権田玄太郎」
「本名で呼ばないで」
 かつての悪友はいつも、僕の名前をフルネームで呼ぶ。僕はその名前がいやでたまらなかた。
「本名で呼ばないで」
「なんで二回行たの」
「さきちうど長ネギ買たんだけど」
「なんで食う気満々なの」
 悪友は一本退いた。しかしいかんせん鴨ロースなので、アスフルトにずりずりと体を引きずることになた。
 やあ、彼が汚れてしまた。僕は慌てて彼を拾いあげた。
「うわ、なにをする」
「食わないよ」
「食わないのか」
「うん」
 だて汚いもの。
 そのまま僕は鴨ロースを家に持ち帰り、汚れを水で洗い流し、それを食おうとしたその刹那、雷鳴が轟いた。
 驚いた僕は窓を開け、空を見上げた。
 確実に大雨が降る雲行きだ。
 僕はさそく避雷針を持ち、外に出た。
 次の瞬間あたりは真白になり、そして僕は鴨ロースになた。
 目の前に男が立ている。
 そして開口一番、彼はこう言た。
「ねえ、食べてもいいかい」
 それはかつての悪友だた。


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