てきすとぽい
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第37回 てきすとぽい杯〈てきすとぽい始動5周年記念〉
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核兵器ください。
(
酔歌
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投稿時刻 : 2017.02.18 23:00
字数 : 767
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核兵器ください。
酔歌
寝込んだままじ
ゃ
、外の世界のことが分からないや。テレビでも見ようか。なんて、し
ょ
うもないことからこの物語は始ま
っ
た。
――
執筆 金鶏
「熱か、薬飲んどけ」
四十代も入りかけの様な男は、息子に言
っ
た。まあ、俺が息子なんだけれど。薬なんて飲みたくない。コ
ッ
プの水だけ、飲みほした。
「それじ
ゃ
あ」
あ
っ
という間に靴紐を結び終わ
っ
たら、男は外出した。
俺は寝た。ぐ
っ
すりと。
だけれど妙な夢も見てしま
っ
た。洪水で沈む都市。根
っ
こに絡みつかれる都市。病気と火に包まれる都市。三すくみの関係表が頭に流れ込んだ。俺は感覚的に、それはバランスなのだと思えた。だけれど妙にその三つ目が強い。
まあそんなわけで俺は夢から覚めてしま
っ
た。付近になにか電子デバイスを目視できたとしたら、テレビくらい。
リモコンで電源を点けた。
「おはようございます。本日は」
「
……
臨時ニ
ュ
ー
スをお伝えします」
浮かない顔で、キ
ャ
スター
が放
っ
た一言はあまりにも衝撃的なんだけれど、俺にと
っ
てはどうでもよか
っ
た。
「日本海域に向け、核搭載ミサイルが放出されたとのことです! 日本海沿岸にお住まいの方は、直ちに非難してください」
冷静ながらも緊迫気味に伝わる声。彼女自身東京にいるのだろうに。そもそも核兵器
っ
て、何故打つんだ。俺は言葉を発しずには居られない
「人に向けて打つ核か
……
それで自然すら穢れるだろうに。どうせ父も死ぬんだろう? でも人だけじ
ゃ
ないんだよ」
火が強すぎる。直感だ、夢と同じ。火の力によ
っ
て水と土が足りていない。火を抑えなければいけない。
「神様、最後の慈悲でございます、私達に核兵器を!」
カメラの向こう側で、男が発するだけの戯言が耳に残る。テレビの信号は切れ
……
その瞬間、世界は火に包まれた。次はいつ病気に包まれるのだろう。
火素の増えすぎた世界。空飛ぶ金鶏は、下界を観察し、天へ飛んで行
っ
た。
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