てきすとぽい
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ふわふわふわふわ くらげ旅
(
おかゆまくらげ
)
投稿時刻 : 2017.04.08 00:24
字数 : 1690
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ふわふわふわふわ くらげ旅
おかゆまくらげ
「この世の中は汚れている」
透明でふわふわしたソレが言
っ
てて、私の周りはそれはもう、とんでもないことにな
っ
てる。この世はもう終わりだー
とか、神のご掲示だー
とか。
当の私は
っ
て言うと、よくわかんない気持ちでふわふわ、ふわふわ。なんだか、みんなの言葉の中をぶらり、ひとり旅行。
あのね。
透明なソレ。なんだか、可愛いんだ。
先
っ
ぽが丸くて、細長くてうねうねしてる。それが全部で8本かな?
だ円形の大きな顔の下にく
っ
ついてて、一番端
っ
この1本を持ち上げて、マイクなんて持
っ
たりして。
ソレの言葉ひとつひとつにみんな、怖が
っ
ち
ゃ
っ
て、ははー
とか、お許しをー
なんて、地面にひれ伏しち
ゃ
っ
てる。
こんなに可愛いのに。
私お
っ
かしくて笑
っ
ち
ゃ
っ
た。
でも、ソレの言葉思い出して考えてみた。
「この世は汚れている」
毎日毎日、悲しいニ
ュ
ー
ス。誰が誰を殺したとか、偉いひとが嘘ついたとか、誰かが自分で命を絶
っ
たりとか。
まだ15年しか生きてない私の道の前を、黒く
っ
てもやもやした雲が立ち込めてる。
見るのも聞くのも、もうウンザリ。
だ
っ
て私の未来にね、そんなの関係ないんだ。そうでし
ょ
?
私は私の道を歩いてる。そり
ゃ
、その道のそばでたくさんのひとが通り過ぎたり、手を振
っ
たり、一緒に歩いたり。
でもね。その道を歩く前に、嫌にな
っ
たり怖が
っ
たり、それ
っ
ておかしい
っ
て思う。テレビとかネ
ッ
トとか、遠い世界のこと。まるですぐ後ろに、荒い息遣いを立てて迫
っ
てきてる。そんな風に思うから、みんなあー
だこー
だ
っ
て言
っ
ち
ゃ
うんでし
ょ
?
自分の身に起きたみたいに、ぎ
ゃ
ー
ぎ
ゃ
ー
、ぎ
ゃ
ー
ぎ
ゃ
ー
。
聞きたくない。
私がもし、その嵐の中心にいたんだ
っ
たら、そんな風に言
っ
てほしくない。結局、みんな自分のことを見てほしいだけ。ひとの気持ちを踏みにじ
っ
て、ゴミみたいにち
っ
ぽけな存在だ
っ
て認めることが怖いだけ。
あ、そ
っ
か。
ゴミなんだ。みんな。
ゴミはち
ゃ
んと綺麗に拭き取らないと。地表面を清潔で美しい布でシ
ュ
ッ
てひと吹き。
「この世は汚れている」
うん。ソレの言
っ
てることは間違
っ
てない。この世の中は汚れてる。それなら、い
っ
そ綺麗にしてくれた方がいいよね。
だけど、ゴミじ
ゃ
ないひとだ
っ
ている。いつも仕事で疲れて帰
っ
てきて、お話とかできないけど、家族のことが好きなお父さんとか、毎日好きなこともできないで、言うこともきかない子どもを叱
っ
てばかりのお母さん。
それでも、誰かのために
っ
て一生懸命生きてる。文句もたまには言うけど、誰かの悲しい涙を明るいところに引きずり出して、お前に隙があ
っ
たからいけないんだ、いつでも逃げ出せた。いやいや、お前は悲しい目にあ
っ
た、だけどもう大丈夫、僕が味方だとか。そんなくだらないこと言わないもん。
なのに、そんな風に一生懸命生きてるひとたちを、一部の病原体のせいで、この透明な何かに抹殺されち
ゃ
う。
お前たちが死ねばいいのに。
でも、ダメだよね。私たちだ
っ
て、お掃除の時にいちいち、ゴミのひとつひとつを手に取
っ
て、調べたりしないから。拭き取るだけだもん、ゴミは。綺麗なところも含めて、ふきふき。
だから、私たちのことも一緒に、ふきふき。
き
っ
とそんなふうにね。
むしけらみたいにころされち
ゃ
う。
わたしたちはわるくないのに。
いちぶのび
ょ
うげんきんのせいで。
ぷるぷるこじかみたいにふるえてもそれはや
っ
ち
ゃ
うんだ。
あー
あ。
わたしのじんせい
っ
てなんだ
っ
たんだろ。
なんて、そんなことをぼんやりと考えてたんだけど、ふと思
っ
ち
ゃ
っ
た。
「あ、くらげ」
そしたらみんな、ば
っ
て振り向いて、
「お前にも隙があ
っ
た」
「いつでも逃げ出せた」
「お前だ
っ
ていい思いしてたんだろ?」
「被害者ぶ
っ
てんじ
ゃ
ね
ぇ
よ」
「可哀想に」
「辛か
っ
ただろ?」
「もう大丈夫だからね」
「ち
ゃ
んとあいつらを罰してあげるからね」
「「だから本当のこと言
っ
て?」」
「ごめんね。気付いてあげられなくて」
私はは
っ
として、涙を目にい
っ
ぱい浮かべて、身体の不純物を真新しい綺麗な布で、一生懸命拭いてくれるお母さんに抱きついた。
私ぶらり、ひとり旅。
記憶と時間の中をふわふわふわふわ、くらげ旅。
気付いたら、ふんわり家族旅行。
(了)
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