第40回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
〔 作品1 〕» 2  14 
ポチが来る
茶屋
投稿時刻 : 2017.08.19 21:47
字数 : 1000
5
投票しない
ポチが来る
茶屋


8月2日(雨)
 ポチがいなくなた。近所を探したけどいなかた。夕方になても帰てこなかた。お母さんは逃げ出したんだろうといたけど、昨日ちんと鍵をかけたのは覚えている。まさかポチが自分で鍵を開けて逃げ出せたとは思えない。明日貼り紙を作ろうと思う。
 今日はお風呂に入れなかた。

8月5日(晴れ)
 ポチが見つからない。いくら探しても見つからないし、電話も来ない。いたいどこにいたんだろう。どこかで事故にあたりしていたら嫌だ。でもそんなはずはない。ポチは頭が良かた。だから逃げ出したんだたらどこかで生きているはずだ。でも生きているんだたら見つけるのは難しいかもしれない。とても頭がいいから。

8月8日(晴れ)
 ポチはまだ見つからない。こんなに探しても見つからないんなんておかしい。もしかしたら、本当に事故にあてしまたんだろうか。
 ポチの散歩はたまにしかいけなかたから、もと行けばよかた。もと撫でてあげればよかた。体に悪くても、もと好きなお菓子を食べさせてあげればよかた。なんだか、後悔ばかり浮かんでくる。ポチが死んだはずがないのに。

8/12(☂)
 ポチがいなくなてもう9日だ。

8月18日(雨)
 ポチがいなくなてもう16日だ。夏なのに涼しいし、雨ばかり続いている。どこかで凍えていたりしないだろうか。僕の事を呼んでたりしないだろうか。

8月20日(雨)
 お母さんはもうポチのことなんて忘れたみたいだ。お母さんともう忘れなさいなんて言うからひどいと思て怒た。お母さんと初めて喧嘩になた。たぶん、初めてだと思う。

8月21日(雨)
 ポチはもう死んだんだと思う。なんだかよくわからないけど、そう思う。
 でもたぶん、もう僕は知ていた。
 ポチがいなくなたあの日から、僕はもう知ていた。
 はじめからたぶんわかていた。

8月22日(雨)
 なんだか最近、お母さんが怖い。いつも通りのような気もするけど、なんだかどこかおかしい。どうやて説明したいいかわかんないんだけど、なんだか怖い。とにかくいつもと違う。
 お父さんがいなくなた日を思い出すのは何故だろう。
 お父さんがいなくなた日も僕はちんと鍵を閉めた。
 お父さんはポチと違てばかだたから、多分死んでると思うけど。

8月22日(雨)
 やはり気のせいでした。お母さんはやぱり優しいです。

150915
 お母さんがポチが来ると言ていた。お父さんは来月だ。
← 前の作品へ
次の作品へ →
5 投票しない