てきすとぽい
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ファッションの秋!パリコレ小説大賞
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解析結果 HM3120 1712241326
(
茶屋
)
投稿時刻 : 2017.12.24 22:53
字数 : 2588
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解析結果 HM3120 1712241326
茶屋
analyse ruslt
file:HM31201712241326
これは衣服であり、物語でもある。
結論から言えば、衣服に物語は不要だ。
とはいえ、長年愛用されてきた衣服にはそれを愛用した人物の物語が宿ることもあるであろう。
とはいえ、職人が幾多の困難を乗り越え、そして想いを込めて織
っ
た衣服には物語が宿ることもあるかもしれない。
とはいえ、衣服の糸を解きほぐし、繊維一本一本を辿
っ
ていけばそれに関わ
っ
た幾多の人々の物語が見いだされれるであろう。
衣服の物語はは不要だが不可避な物語と言えなくもない。
たとえば、この衣服は人類が未だ手に入れていない技術で織りなされている。
未知の繊維一本で織りなされており、一見均質に見える編みをされているが、非常に複雑雑多な織りがなされている。複雑怪奇な編みと織りで構成された衣服はある種の記号のようでもある。だが、それはあらすじに過ぎない。その一本の繊維自体が一本の連結した長鎖ポリマー
で構成されているのだ。繊維と物語とのつながりは生物の根源ともいえるDNAの存在からも比喩的に紡ぎだすことができる。DNAはポリマー
の4種の単位分子がそれぞれ一つの記号とな
っ
て生物の「あらすじ」を作り出しているわけでもあり、はてさて、となればそれらの根源たる素粒子の正体はstringであることは無関係とはいえまい。
兎にも角にも、これはポリマー
の織りと編みを記号とみなし、言語学的に解析された物語である。
解析は解釈であり、そもそも衣服は物語などではなく一種の計算機械であると解釈する向きもあるがそれは蛇足に過ぎない。
クリスマスイブの出来事である。
西洋の冬至が起源にあり、無論他の西洋の記念日と同じく誰かが死んだか生まれた日だ。こんな日に街に全裸はいない。皆、服を着ているのだ。驚くべきことに。
主人公は男でも女でもよく、それ以外でも別に構わない。問題なのは服を着ているか否かであり、当然のことながら下着には言及しない。
相方もまた同様であり、衣服以外は特に意味がない。帽子や靴を衣服に含むべきか否かは現在調整中である。
仮に主人公は男として、10代最後の年に人生で初めてできた恋人とのデー
トを心待ちに駅前の大時計の秒針を見つめているのだ。
仮に雪が降
っ
ており、仮にイルミネー
シ
ョ
ンの色とりどりの光が行きかう人々の顔を照らしている。
仮に人々の顔はどこか楽しそうに見えるのは、その青年が浮ついているせいだろう。
しかし、残念ながら今後恋人について言及されることはない。
散々言及してきたように問題は衣服である。
白地に黒ボタンのボタンダウンシ
ャ
ツの内側に聞こえんでいるのはもちろん定番のヒー
トでテ
ッ
クなやつ。黒のVネ
ッ
クセー
ター
はヒー
トでテ
ッ
クと同じメー
カー
だが、う
っ
すらとカモフラにな
っ
ているグレー
のダウンジ
ャ
ケ
ッ
トはバイト代を貯めて買
っ
たそこそこな値段の奴である。ボトムスはストレー
トジー
ンズ。色は何の変哲もないインデ
ィ
ゴで特段にダメー
ジ加工や風合いのある色落ち加工がなされているわけでもない。数年前に親が買
っ
てくれたものだが、「ジー
ンズがかなり長持ちする」するという理由でそこら辺の量販店で売
っ
ている中ではハイクラスな値段のものだ。体形があまり変わ
っ
ていないのでだいぶ足に馴染んでいる。ジー
ンズは丈夫だ。何せ労働者のための作業ズボンが起源なのだから。そもそもジー
ンズができたのはアメリカ合衆国に燦然と輝くゴー
ルドラ
ッ
シ
ュ
の時代。奇しくも日本でも藤原清衡が中尊寺金色堂を建立した時代だ。ジー
ンズの開発はリー
ヴ
ァ
イ・ストラウスを基軸に語られることが多いが、鋲によ
っ
て縫製を補強するというアイデ
ィ
アはジ
ェ
イコブ・デイヴ
ィ
スによ
っ
て出されたものである。残念ながらジ
ェ
イコブは金がなか
っ
た。故に死後の名声もリー
ヴ
ァ
イのほうが大きい。そうはい
っ
ても現代のジー
ンズで鋲の意味はさほど大きいとも思えないが。
ところでジー
ンズと言えばデニム、デニムと言えばジー
ンズであるがその原型としてはデニム生地ではなくキ
ャ
ンバス生地であ
っ
たらしい。キ
ャ
ンバス生地はそもそも帆布のことであり、船の帆に用いられていた。なるほど頑強である。この帆布であるが、その繊維は主に亜麻製、アマ(亜麻、学名:Linum
usitatissimum)、アマ科の一年草の繊維からつくられている。その名前から麻と同種のものと思われがちだが麻のほうはカンナビス・サテ
ィ
バ
(Cannabis
sativa)であ
っ
てアサ科に属する植物である。植物の繊維と言えば種子を拡散させるための飛行装置となる綿毛なぞを想像しがちだがどちらも亜麻も麻も茎部分から繊維を取り出している。綿のほうは実際種子に関係する綿毛で、種子の保護をするようなものであると思われる。
このように衣服を構成する繊維は植物由来のものが多数あるが、それ以外にも昆虫や哺乳類、鳥類に由来する繊維も数多く用いられている。生命は進化の過程で様々な繊維をそれぞれが独自に生み出してきた。それは何かを支える構造体や住居であ
っ
たり、鱗から進化して防御のための外殻、体表の温度調節や防水のため、あるいは異性を惹くための草食の道具としての機能を担
っ
てきた。生物は様々に繊維を作り出し、そして利用してきた。それはまた、人間も同様である。それ故に、衣服は長い生命の年月の物語を孕んでいるのだ。
例えば、一本の糸を抜いてみよう。
主人公はオスでもメスでもよく、それ以外でも別に構わない。問題なのは服を着ているか否かであり、当然のことながら下着には言及しない。
相方もまた同様であり、衣服以外は特に意味がない。帽子や靴を衣服に含むべきか否かは現在調整中である。
仮に主人公はメスとして、年下のオスとの待ち合わせ場所にち
ょ
うど辿り着いたところだ。
オスのほうはまだメスに気付いていないようだ。いつもとは違う服装なので、なんだか不思議だ。
無難とい
っ
た感じなのだけれど、近づいてい
っ
て細部が目に入る。
無難は無難で大きな減点はないのだけれど、細かい減点対象はすぐに見つかる。
だけどま
ぁ
、良しとしよう。なにせ二人はこれからなんだから。
そんな風にメスは思い、メスの衣服の物語に関してはあなたの宿題だ。
衣服はこれからも織られ、編まれていく。
物語もまた同様だ。
だが、人生において物語は必要ではない。
必要不可欠なのは衣服だけなのである。
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