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第50回 てきすとぽい杯
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ガラスの靴の魔法は解けない
 投稿時刻 : 2019.04.14 00:31 最終更新 : 2019.04.14 00:44
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- 2019.04.14 00:44:42
- 2019.04.14 00:31:20
ガラスの靴の魔法は解けない
すずはら なずな


「忘れ物をしました。その靴は、これから私を幸せにつなげてくれるはず。」

老女は同じ言葉を繰り返す。なるほど、片方の靴がない。
とりあえず交番にでも連れて行こう、と私は思う。
時刻は0時5分。私だて家に帰りたい。

「さきまでどこにいたの?」
場所は「お城」だと言う。異国情緒豊かな繁華街の店の中には「お城」と言てもいい豪奢な造りのものも ないことはない。地味で粗末な服装の老女にとては、どこもきらびやかな「お城」なのかもしれない。
「何処から来たの?どうやて来たの?」
面倒なことになたなと思うと 掛ける言葉もぞんざいになる。
「ああ、もうあれは馬車でもないの。どこにあるのか解らない。だ……
少女みたいな喋り方をすると、彼女は私の腕を取り 時計を見て絶望的な声で言う。
「12時を回てしまた。魔法は解けたの」

と、なり損ねたシンデレラ。無駄な希望を引きずて 今日まで生きて来たの?
き私も「王子様」に振られたところ。誰かに貰う「未来の幸せ」なんて期待しない方がいい。

さあ、ここでご家族呼んでもらて、元の生活に戻りなさいね。どんな日常でも 夢だけ見て暮らせればそれも幸せかもしれないね。交番の入口で彼女の背中を押した。

そんな都合よくガラスの靴の落とし物なんてあるわけない。だて魔法は解けたんだから。

そう思いながらも 道路の向こう、一際古風な石造りの建物の大きな階段に きらりと輝く片方の靴を見たような気がして目を擦る。
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