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- 2020/04/18 23:44:48
- 2020/04/18 23:44:00
- 2020/04/18 23:23:36

　
　
　タイムスリップして一年前の自分に伝えてやりたい。
「一年後、お前はタイムマシンを発明していると」
　
　そもそもの発端はちょうど半年前である10月になった日、祖母の言いつけで家の蔵の大掃除をしていると、奥にしまってあった木箱から変な図面と古文書が出てきたことだった。祖母の話によると我が家の先祖に平賀源内に勝らずとも及ばない発明家がいたそうな。なんだかどっかで聞いたような話だ。これは彼が残した古文書らしいのだがなんだか奇天烈な言葉が散りばめられて全然理解できないそうだ。
　しかし私は気付いた。これは現代社会にしか存在しないはずの物質が材料として書き込まれている古文書なのだと。
　そして紆余曲折が色々あってついに古文書を解読した僕はいよいよ時空移動装置の開発に取り掛かった。私は仕事をやめ酒もやめタバコもやめパチンコには時々通い、徹夜に徹夜を重ねた。そして、あれからちょうど半年後にあたるこの4月を迎えた今日、めでたく時空移動装置がジャンジャンバリバリと完成したのだった。
　え？　お前の発明じゃねーじゃんって？　まあまあ。特許を取るのは私なんだから、私の発明といっても華厳の滝じゃあナイアガラの大放出。
　
　というわけで、一年前の自分に自慢するためにエネルギー充填、準備OK。
「時空移動装置、出発進行スイッチオー……」
　とその瞬間、室内に大音響ともうもうと立ち込める煙。
　しばらくして煙が薄れ視界がひらけた時、そこに別の時空移動装置が現れていた。
　
「コホコホ。やあ一年前の自分」
　と別の時空移動装置に乗った自分そっくりの姿をした人があいさつしてくる。
「ということは、あんたは一年後の自分？」
「お、察しが良いね。するってえと話が早い」
「なんで江戸っ子口調？」
「まあまあ、まずは話を聞いてくれ一年前の自分……」
　
　とこんな風な始まりでもう一人の私の語ることによると、とにかく一年前の自分に会いに行くのはよせ、バカらしいからということだった。
「なんでだよ。私もあんたみたいに一年前の自分に会ってえらそうに語りたいんだよ」
「ところがそうはいかないんだ」
「まさか、失敗するのか？」
「いやいや、そんなことはない。タイムスリップは大成功だ。そして結果、大金持ち間違いなし。君の人生バラ色も虹色も黄金色も全部ひっくるめて結果、色々だ」
「いや、結果が一般論みたいになってるけど」
「とにかく私は警告したからな。じゃあなアバヨ」
　と言い捨てると一年後の自分は時空移動装置を操作し再びもうもうと煙を立ち込めて去っていった。
「ケホケホ。なんだありゃ。好き勝手言いやがって、てやんでえちくしょー」
　と江戸っ子言葉が伝染した私は一年後の自分の警告など意に介さず、時空移転装置のスイッチをいれた。
「一年前の今日へしゅっぱーつ！」
　
　と時空がネジ曲がり、景色がブレ揺れ動き、すごい振動がして、最後は大爆音。もうもうと煙が立ち込める中、ついにちょうど一年前の日付けを過ごしている私の前に今現在の私が姿を現した。
　
「やあ一年前の私。私が何を言いたいかわかるかな？」
「知ってるよ。今日はエイプリルフールってんだろ」

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