第14回 文藝マガジン文戯杯「花言葉」
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テロリスト・ブルーアイリス
投稿時刻 : 2021.01.16 02:03 最終更新 : 2021.01.16 03:34
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- 2021/01/16 03:31:05
- 2021/01/16 02:03:55
テロリスト・ブルーアイリス
shitamachi-taro


「また、野党の議員ですね」
俺は先輩の刑事に言った。
周囲には鑑識がいたが、俺たち刑事も現場を検証していた。
「ああ、ナショナルアセット法に反対していた議員だ」
「しかし、自民党の議員を野党の議員と言うのは、なれませんね」
「しかたがないだろ、共産党の首相になって、立憲民主党が与党になったんだから」
そうだ、コロナ対応に自民党・政権が失敗して、いつの間にか共産党・立憲民主党連合政権に日本はなった。
そして、共産党から首相が選ばれた。
国民は不思議なことにそれを自然と受け入れた。
ナショナルアセット法とは「国と国民の為の資産法」のことで、これは一言で言うのは難しい。
ただ、言えるのは自民党が下野して、与党の親中派が日本国内への中国からの出資を募るための手段だった。
いつの間にか、尖閣もなぁなぁの状態になり、人民解放軍の軍艦が通過するようになっていた。
日本の各海峡は中国とロシアの艦船が自由に行き来するようになっていた。
かって、中国、ロシア軍の偵察機が日本の領空を侵すと航空自衛隊のスクランブルがかかっていた、スクランブル出動も禁止された。
「ところでやっぱりあったか、あやめは?」
「ありましたよ。ふざけたことにほとけさんのスーツの上着のポケットに差していました」
「テロリストとしても、ふざけているよな」
「これで四人目ですね」
「ああ、さすがに五人目になると、桜田門への国民の眼も厳しくなる」
「それもありますが、市ヶ谷のほうも大変らしいですね」
桜田門とは警視庁。
市ヶ谷とは防衛省・自衛隊のことだ。
「市ヶ谷は親米派だとへき地の隊員募集に飛ばされるとさ」
「うちは都内に限りますからね。そう言えば、先輩、あきる野の交番勤務の時期がありましたよね?」
「今の刑事よりそっちがよかったってかみさんがぐちをこぼすよ。なにせ、俺のところで子供が生まれた時にそれがニュースになるぐらいのんびりしていたからな」
「悪くないですよね、二課にいるより」
「ああ、これも一課で扱いきれないで二課になったからな。あきる野にいた頃なんて、地元の子供相手に交通ルールを教えることがメインだったぐらいだよ」
先輩はぼやく。
「ところで、なんであやめなんでしょうね?」
「うーん、そこだけど、本部のなんらかのメッセージはあるだろうけど、わかっていない、だから……」
「殺めるであやめならセンスがないっすよね」
「そこなんだよな」
「あやめの花言葉は希望だと言う説も」
先輩はいやそうな顔をした。
「バカを言え、こんな日本のどこに希望がある。よっぽど給付金をけちったいちご農家の首相のほうがましだった。最近の外事部ののことは耳に入っているだろ?」
「ええ。人民解放軍がサーバを閲覧できるアカウントがあるとかないとか」
「誰が敵で、誰が味方かわからん」
「テロリスト・ブルーアイリスとか呼ぶ連中もいるらしいですよ」
「なんだ、それ?」
先輩はきょとんとした顔になった。
「なんでも、そういう国士様のブログがあるらしくて。blueirisr.jpってドメインがあるそうです。日本の新たな希望を書いているらしいっす」
「お前、それ、捜査会議で言ったか?」
「いやー、都市神話だとばかり思って」
「バカヤロウ!一応、サイバーの連中に身元を洗わせろ」
事件はあっと言う間に解決した。
ただ、いつの間にか捜査本部は解散して、関わった捜査員は二課から外された。
俺と先輩は小笠原の交番勤務になった。
一応、都内で警視庁の管内だ。
まぁ、事件も起こらず平和な毎日だ。
俺はスキューバーを覚え、海の落としものを探している。
先輩のところは子供が増えた。
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