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第16回 文藝マガジン文戯杯「秋の味覚」
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ドラマツルギー秋の味覚篇
 投稿時刻 : 2021.08.22 22:04
 字数 : 920
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ドラマツルギー秋の味覚篇
多千花香華子


「秋の味覚といえばマツタケ!」
 若い女のリポーターが快活に言う。
 リポーターはヘルメトを被り、防弾ジトを着ていた。まるで従軍記者だ。リポーターが続ける。
「そんなわけで今日はマツタケ発祥の地、地球に来てます! 旅のお友だちは降下侵攻群デルタ大隊のみなさんです!」
 まちがいなく従軍記者だた。
 ライフルを持ち、光学迷彩のついたアーマーを着こんだ兵士たちが走ていく。リポーターはにこやかに言た。
「いまや無人の地球ですが、ここ最近は菌類の知性化が著しく進んでいるそうです。このままだと宇宙進出もまもなくだとか。それてヤバいじないですか。宇宙は人類のものですもんね。菌類には薄汚れた地べたをはいずりまわていてもらわないとなりません」
 遠くで銃声、爆発音。戦闘が始またらしかた。
 なにごともないようにリポーターが続ける。
「菌類のなかでもとも知能が高く凶暴なのがマツタケなんだそうです。そこでわたしたち降下侵攻群デルタ大隊は軌道上からの核攻撃でマツタケの大都市を殲滅しにかかたわけですが……失敗しました! マツタケの都市には核分裂を阻害する放射装置が設置されていたんです! もう大変、それでわたしたちが地上攻撃で放射装置を破壊しなければならなくなたんですね。レツ、マツタケ狩りです!」
 そこへ画面外からひとりの兵士が吹飛んできた。兵士は片腕がなくなていたが、血だらけの姿でリポーターにすがりつく。
「こ、これをルチアに……お願いします……
 兵士はリポーターに指輪をむりやりつかませると倒れた。リポーターは焦て小声で言う。
「ちと! カメラの前で死なないでよ! ウチはエンタメ専門局なんだから……
 突如、巨大なマツタケが落下してきてリポーターを潰した。ついで画面が黒くなる。
『しばらくお待ちください』の画面のあと、カメラはスタジオに移た。コメンテーターがしたり顔で取り繕う。
「地球では現住生物が高知能化してるようですけども、けくは人類の後追いですよ。恐れることはありません……
 つまらなくなてきたので、ぼくは食事に集中することにした。焼き芋をほおばりながら、哲学的なことに思考を泳がせる。
「ああ、宇宙はドラマに満ち溢れているな
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