第23回 文藝マガジン文戯杯「帰郷」
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転生、転生、それは転生
ミラ
投稿時刻 : 2023.08.27 13:39
字数 : 661
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転生、転生、それは転生
ミラ


 なんてこたい、俺死んじた。爆走大型トラクに、轢かれ内臓ぶちまけて、原形留めぬ路上のアートになた。
 人気少ない深夜の国道、バイト帰りのスクーター、轢いたトラク一目散。二十五年の我が人生、一体何なの、無意味な生涯。
 彼女もいない、金もなし、碌な暮らしじなかたけれど、いくら何でも死ぬよりましだ。
 こんな形で人生に、サヨナラするとは情けない。
 自分の死体を見下ろしながら、魂だけの俺様は、そんなことなど考えていた。

 次に目覚めたときは朝。小鳥さえずる、風そよぐ。ここはどこなの、私はだあれ。悪い夢でも見てたのかしら。
 流れる雲をぼんやりと、眺めているうち思い出す。俺は轢かれた、死んじたのだ。だとすり、ここは天国か、はたまた異世界転生か。
 見渡す限りの大草原、人子一人いやしない。耳をすませばどこからか、聞こえてくるよ、せせらぎが。他にやることあるじなし、そういや喉も乾いてる。川を探して歩きだす。
 やと見つけた小川の水を、両手ですくて飲み干した。喉を潤す冷たい清水、思わず俺は声上げた。
「ああ、生き返るなあ。死んでるけれど」自分で突込み入れちた。

 以上が事の発端で、それから続く大冒険。異世界暮らしも楽じない。紆余曲折がありまして、結局俺は生き返り、元の世界に帰還した。爆走大型トラクを、避けて転げて気を失て、歩道の上で眼を覚ます。何だすべては夢だた。酷いオチだな、我ながら。

 それから俺はどうしたか?
 零細企業に職を得て、職場結婚、子は二人。
 幸せですかと問われれば、まあそれなりに、と言ておく。
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