てきすとぽい
X
(Twitter)
で
ログイン
X
で
シェア
第23回 文藝マガジン文戯杯「帰郷」
〔
1
〕
〔
2
〕
«
〔 作品3 〕
»
〔
4
〕
〔
5
〕
転生、転生、それは転生
(
ミラ
)
投稿時刻 : 2023.08.27 13:39
字数 : 661
1
2
3
4
5
投票しない
感想:3
ログインして投票
転生、転生、それは転生
ミラ
なんてこ
っ
たい、俺死んじ
ゃ
っ
た。爆走大型トラ
ッ
クに、轢かれ内臓ぶちまけて、原形留めぬ路上のアー
トにな
っ
ち
ゃ
っ
た。
人気少ない深夜の国道、バイト帰りのスクー
ター
、轢いたトラ
ッ
ク一目散。二十五年の我が人生、一体何なの、無意味な生涯。
彼女もいない、金もなし、碌な暮らしじ
ゃ
なか
っ
たけれど、いくら何でも死ぬよりましだ。
こんな形で人生に、サヨナラするとは情けない。
自分の死体を見下ろしながら、魂だけの俺様は、そんなことなど考えていた。
次に目覚めたときは朝。小鳥さえずる、風そよぐ。ここはどこなの、私はだあれ。悪い夢でも見てたのかしら。
流れる雲をぼんやりと、眺めているうち思い出す。俺は轢かれた、死んじ
ゃ
っ
たのだ。だとすり
ゃ
、ここは天国か、はたまた異世界転生か。
見渡す限りの大草原、人
っ
子一人いやしない。耳をすませばどこからか、聞こえてくるよ、せせらぎが。他にやることあるじ
ゃ
なし、そういや喉も乾いてる。川を探して歩きだす。
や
っ
と見つけた小川の水を、両手ですく
っ
て飲み干した。喉を潤す冷たい清水、思わず俺は声上げた。
「ああ、生き返るなあ。死んでるけれど」自分で突
っ
込み入れち
ゃ
っ
た。
以上が事の発端で、それから続く大冒険。異世界暮らしも楽じ
ゃ
ない。紆余曲折がありまして、結局俺は生き返り、元の世界に帰還した。爆走大型トラ
ッ
クを、避けて転げて気を失
っ
て、歩道の上で眼を覚ます。何だすべては夢だ
っ
た。酷いオチだな、我ながら。
それから俺はどうしたか?
零細企業に職を得て、職場結婚、子は二人。
幸せですかと問われれば、まあそれなりに、と言
っ
ておく。
←
前の作品へ
次の作品へ
→
1
2
3
4
5
投票しない
感想:3
ログインして投票