第74回 てきすとぽい杯
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罰と罰
投稿時刻 : 2023.08.19 23:29
最終更新 : 2023.08.20 00:40
字数 : 1500
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- 2023/08/20 00:40:43
- 2023/08/20 00:29:10
08/19 23:30:36 付記更新)
- 2023/08/19 23:29:34
罰と罰
木嶋章夫


 帝政ロシアの首都、夏のサンクトペテルブルク。学費滞納のため大学から除籍された貧乏青年ラスコーリニコフは、それでも自分は一般人とは異なる「選ばれた非凡人」との意識を持ていた。その立場なら「新たな世の中の成長」のためなら一般人の道徳に反してもいいとの考えから、女子小学生と付き合うことを考える。
 ラスコーリニコフは家庭教師をしていたソーの家に行くところだた。ソーは12歳の小学6年生だ。まだ胸は大きくなく、とても痩せていた。それがラスコーリニコフの好みに非常に合ていた。
 ラスコーリニコフは告白されるのではなく、自分から告白したかた。なぜならラスコーリニコフは非常にソーを愛していたので。
 大学から除籍されたことがわかれば、家庭教師の仕事もできなくなるかも知れない。ラスコーリニコフには時間がなかたのだた。今日こそ決めなくてはならない。
「ラスコーリニコフ先生、いらい。今日もお母さんは仕事でいないの」
 とソーは自分の家の前で言た。
「じあ今日も家にはソーしかいないんだね?」
「そうよ。さあ、入て」
 二人は家の中に入ると、ソーの部屋に入た。ソーは学習机に座り、そのすぐ横にラスコーリニコフが座た。 
「今日は授業の前に渡したい物があるんだ」
 とラスコーリニコフはソーに言た。
「何かしら?」
    とソーは言た。
「これなんだ。見てくれ、皮で作た栞なんだ。可愛いだろう。ハートの形をしているだろう。僕がソーのために作たんだよ」
    そうラスコーリニコフが言うと、ソーはあまり興味がなさそうに栞を見た。
「先生、教科書に栞はいらないわ。早く授業を始めてください!」
 と、ソーはいささか強めに言た。
「ソー! 怒たのかい? ごめんよ。もともとソーはあまり本を読まないものね。漫画さえ読まないし。ごめんよ、ソー
    ラスコーリニコフはソーに謝た。ラスコーリニコフは読書家で、つねに変な思想を抱いていた。ラスコーリニコフは自分の趣味をソーに押し付けてしまたのだ。
 趣味も合わないし、性格も悪い。ラスコーリニコフはソーのどこが好きなのかわからなくなた。ただ小学生だからという理由だけでソーのことを好きになたような気がする。
「先生が使えばいいじない。ハートの形してるし。先生て私のことが好きなんでしう?」
 自分の気持ちがバレていたことに非常に動揺しながら、ラスコーリニコフはこう言た。
「僕は『選ばれた非凡人』なんだ。だから小学生を、ソーを愛したて許されるんだ……
「気持ち悪い!」
   とソーは叫んだ。
 ラスコーリニコフはすかりしげて、下を向いてしまた。
 しかし、気持ち悪い、という言葉によて、ラスコーリニコフはソーに対する確かな愛情を自分の中に感じていたのだた。
 ソーはつねに僕の上にいなければならない、とラスコーリニコフは考えた。もと言えば僕は愛されてはいけない。少なくともそれが表立て行われてはいけない。僕がソーを愛するのだ。ソーなしでは生きていけないくらいに、とラスコーリニコフは考えた。
 そう考えると、自分がまさに「選ばれた非凡人」であるようにラスコーリニコフには思われた。
「なにをニヤニヤしているんですか? 気持ち悪い! 早く授業を始めてください!」
   とソーがラスコーリニコフに叫んだ。
 気持ち悪い、と言われるたびにラスコーリニコフは嬉しかた。自分はまさに気持ち悪かたし、言われるたびに、ソーがどんどん美しくなるのを感じていたからだ。
 ラスコーリニコフは恋をしていた。まさに「選ばれた非凡人」として。
付記
参考文献「罪と罰」ドストエフスキー
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