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みんなで、ほっこり ハッピー・クリスマス掌編賞
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真夏の冒険
 投稿時刻 : 2013.12.02 01:36
 字数 : 4333
5
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真夏の冒険
たこ(酢漬け)


#シーン1

真夏のある日。降り注ぐ蝉の鳴き声のシワー。学校は夏休み。二人の少年が山に虫取りに。
二人の少年は虫取り網と虫かごを手に山へと昇ていく。

「あついね」
「あついな」
「蝉の鳴き声がいぱいするけど、蝉ならすぐにとれるかな」
「どうだろうな。蝉も意外と木の高いところにいるからな」

山道には草木が鬱蒼と生い茂て、ほとんどけもの道と言える。張り切て虫取りに出かけたものの、お目当てのカブトムシの姿はどこにも見えない。目算が甘かたと、二人の少年は少しがかりした様子。

「なかなか、カブトムシはいないね。」
「そうだな。ここらへんだとな」
「今度お父さんに連れて行てもらおうよ」
「いいなお前んちは。俺んちなんかそんなこと聞いてもらえないぜ」
「そうなの?気にしないで一緒に行こうよ」
「いいのか?」
「いいよ。僕だて一人じ虫取り行かないもん」

二人は話しながら山を登ていく。ふと、足元に、

「わ、なんかいた!」
「何、なんだこの黒い虫」

その虫を捕まえるのに虫取り網なんていらなかた。片方の少年が、片手でつまみあげ、虫かごに放り込む。

「さそく一匹」
「けど、こいつはあんまりかこよくないな。ちと小さいし」
「この虫なんて名前だろうね」
「俺にはよくわかんないな。それより、もといいやつ見つけようぜ」
「そうだね」
とりあえず、虫かごはそのままに、二人はまた歩き出した。

#シーン2

二人はどんどんどんどん山の奥へ入ていく。木立の中を歩きながら時には獣道にまで入ていた。けれどもけもの道は予想以上に深く、ところどころ木の枝が飛び出ていて、やぱり二人は断念した。それでも、何匹かの虫を見つけることはできたので、それなりに二人は満足することができた。

「いて
「大丈夫か?けがすんなよ」
「うん、大丈夫」二の腕を擦りむいたのか、少年Aは、肌をさすりながらうつむきがちに答えた。
「うお、あれなんだ?」
 少年Bの指差す先には、大きなルリボシカミキリがいた。
「すげー、ルリボシカミキリだ」
 少年はそういて、飛び出す枝もなんのその、木に向かて猛ダしていた。
「ち、ちと!」
 少年Aはおいて行かれないように、必死でダした。
 少年Bが手づかみで虫かごに放り込み、急いで蓋を閉めた。虫かごの隙間から、二人で一生懸命中を覗き込んだ。
「すごいね。よく捕まえたね」
「へへー。すごいだろ。」
 二人でまじまじとカミキリムシを見つめながら、戦勝を称えあた。

 木々の枝をかき分け、元の木立の中を通る道に戻た。二人の少年は、森の中の湖へ向かた。

#シーン3
 二人が湖についたとき、太陽はちうど空の一番高いところにあた。二人で水辺に腰かけて、母親の作たおにぎりを食べた。一方の少年がバナナを持てきていたので、二人でそれを半分こした。
「お前、用意いいな。」
「いや、お母さんが持て行けて。」
「へー、それならお前のお母さんにお礼言わないとな。」
「いや、いいよ。たぶん・・・」
「までも、家近いから顔合わせるとき結構あるし、今度言とくよ。」
「あ、うん。」
 少年Bが立ち上がて、湖畔の小さな小屋のほうへ行た。小屋の中には、錆びた車のエンジンのようなものがそのまま置いてあた。古くなたタイヤや、なんだかよくわからない小さなネジなども落ちていた。
「なんだろうな。これ。」
「うーん。よくわかんない」
 少年Bが地面に落ちていたプラグのようなものを手に取て言た。
「もて帰ろ」
 そう言て少年はポケトにプラグのようなものを突込んだ。
 雨が降てくるような気配はなく、二人の頭上で太陽は燦々と輝いていた。少年二人は汗をかきながらせせと山の中を探検していた。
 二人が見つけた湖は、周囲を木々に囲まれていて、二人が来た道の一本と、上流から流れてきている川辺くらいしか、他の場所へ通じるような道はなかた。
 林の中は、木が茂て、薄暗く、苔が生えているところもあた。そういうところには少年たちは近づかないようにした。
 湖の周りをぐるりと一周して、少年たちは、川沿いの道を登ていくことにした。魚が泳いでいるのが見えたが、少年たちは釣竿を持てきていなかたので、しばらくじと魚を眺めていただけで、またすぐに歩き出した。
「こんど図鑑であの魚調べてみようぜ」
 少年Bが元気に言た。
「この辺にはあんまり虫がいないね」
「そうだなー。やぱり木のほうにいるんだろうな」
「うん・・・また森の中に入てい見る?」
「いや、俺はこの川がどこに続いているのか見たいんだ」
「わかた。じあ僕もついていくよ」
 そういて二人はまた歩き出した。二人の親が見ていたら、はらはらするような冒険である。よく両親は許可をしてくれたものだと思う。
 しばらく歩いていると、道の傾斜が緩くなてきて、短い草が生えている、平地に出た。
そこに、錆びて朽ちかけた砲台があた。
「なんだこれ」
 少年Bが興味深そうに近寄る。それを少年Aが遠くで見ている。
「おーい。こち来てみろよ。中に入れるぜ、これ」
「う、うん」
 そういて少年Aも砲台のほうへ走て行た。
 砲台の砲塔がある反対側に回て中を覗き込んでみると、少年Bがすでに中に入て、何かをいじくりまわしていた。
「すげー。こから外が見える」
 砲台の内側はコクピトのようになていて、飛行機のようなハンドルと、鉄板で覆われた装甲には長方形の監視用の窓がついていた。
 少年Aも中に入て、その小さな横長の窓から外を眺めていた。視界の先には青々とした木々の葉ぱと、錆びた銃身が斜め45度くらいの角度で、ますぐ伸びていた。
「これで、何か撃たのかな」
 少年Aがゆくりと口にした。
「そうかもな」
 少年Bが腕を組みながら言た。
「この辺に兵隊とかいたのかな」
 少年Bがそういうと、そのまま二人は黙てしまた。
 どこからか風が吹き抜け、さらさらと風が草木を揺らす音が聞こえた。どこからか男性の叫び声や怒号と、銃声のようなものが聞こえたような気がしたが、それはきと二人の少年の勘違いである。
 遠くでセミの鳴き声が響いていた。

 何度かハンドルをがちがちと動かしてみたが、ロクされているのか、銃身が動くような気配はしなかた。少年Bは飽きたのか、ハンドルの前に座て、両手を頭の後ろで組んでいた。
 少年Aは黙て後ろからそれを眺めていた。虫かごの中で、カミキリムシが退屈そうにもそもそと動いた。
 ぽつぽつと雨が降てきて、一気に豪雨になた。少年二人は、しばらくそこから動けなくなた。
「大丈夫。すぐ止むだろ」
「うん」
 少年Bがそういたが、その予想に反して、雨は長く降り続いた。二人の少年は時計を持てこなかたので、どれだけの間、雨が降たのかはわからなかた。

 二人でじとしていると、突然霧が晴れたように、雲が切れて、太陽の光が差し込んだ。二人が外に出ると、むとした水蒸気の熱気と、太陽に照らされてきらりと光る草露が見えた。
 少年たちは外に出て背伸びをした。カミキリムシがぎーぎー鳴いた。
「カミキリムシて鳴くんだ」
「おお。俺も初めて聞いた」

 太陽の光がだんだんと黄金色に染まてきたので、二人は道を引き返して帰ることにした。
「今日はここまでだな」
「うん」
 そういて二人は急いで引き返した。
 帰り道は早かた。川沿いを歩いて、すぐに昼におにぎりを食べた湖についた。それでも、日が落ちるスピードに追い付かれ、東の空は、青と紺色に染まていた。
 林道に入てしばらくすると、コウモリが飛び始めた。さすがにこちらにぶつかてくることはなかたが、二人は歩くスピードを速めた。
 だがしかし、日が沈むスピードに追い付かれた。森を出る前に、山から下りる前に日が沈んでしまた。
 片方の少年は、半分泣きそうになていた。「急ごう」ともう片方の少年が言て、二人は走り出したが、視界が悪かたせいか、片方の少年が転んでしまた。
 痛みと空腹と寂しさが相まてか、ついに少年は泣き出してしまた。一方の少年が近づいて、体をさすてやると、少し落ち着いたが、なかなかえずくのが止まらなかた。
 その間にも太陽は沈んで行て、あたりは真暗だた。転んでしまた少年も何とか立ち上がて、一方がもう一方の手を引いて歩き出したが、なかなか出口にたどり着かなかた。
 風が吹き出した。少し寒気を感じるようになた。ばさばさと枝が音を立てるようになり、なんだかその音が近づいてきているようだた。
 少年たちは怖くなて、走り出した。手をつないだまま走て行た。
 突然、頭の上を何かが素早く横切た。なんだかわからなかたが、何かが少年二人の頭をかすめたので、さらに怖くなて、少年二人とも泣き出しそうだた。
 走ていると、目の前に黒い大きな影が見えた。なんだかとても大きく見えて、二人は、途端に走る方向を変えた。方向はもう勘に頼るしかなかた。なんだか同じところをぐるぐる回ているようにしか思えなかた。
 二人とも息も絶え絶えで、もうだめだ、と思た瞬間、一閃の光が走た。なんだか聞きなれた声もする。
 二人は必死でその方向に走た。飛び出ている小枝なんか無視して、走り続けた。ずと走ていたら何かにぶつかた。
 お巡りさんだた。

「いたいな
 お巡りさんはそういて、おなかをさすていた。端のほうには、お巡りさんが持ていただろう懐中電灯が転がていた。
 二人は、申し訳なさそうに、「ごめんなさい」とか細く言た。
 遅れて、二人の両親がこちらにやてきた。少し離れたところでは、パトカーのサイレンが音もなく回り続けていた。

 二人はこぴどく叱られた。母親はほとんど泣き出しそうだた。片方の少年は父親に拳骨をもらていた。だがしかし、そのあと熱い抱擁をもらて、なんだかわけがわからなそうにしていた。
 お巡りさんにも怒られた。パトカーに乗るかと思たが、それはなかた。二人は一方の家が出したワンボクスカーに乗せられて、それで帰るようだた。両親がお巡りさんに謝ていた。
 二人は、困惑と疲労で何もしべらずに、シートに座て、ぽかんとその様子を眺めていた。
 その間、カミキリムシは虫かごの中で、もそもそと動いたり、じとしたりを繰り返していた。

 帰りの車の中でも両親に小言を言われたが、あまり長くは続かなかた。
 少年は想像していた。あれはなんだたんだろう。なんだか鳥に見えたような・・。それにしても大きすぎるような。人をとて食べてしまいそうな雰囲気だた。
 両目は金色に光ていて、体はほとんど闇と同化していた。
 そんな想像をしながら、少年二人は眠りについた。
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