200文字小説コンテスト
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簒奪者
投稿時刻 : 2014.03.25 22:42
字数 : 200
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簒奪者
志田玉路


 唇に、すと伸ばした人差し指をあてて、彼女の背後から、気付かれぬように慎重に近寄る。
 彼と視線が交差し、私の目論見に感づくとそと目配せをした。
 瞳と瞳で交わす秘密の暗号文。
 私は彼女に目隠しをする。
「だーれだ?」
 子供じみた悪戯に見せかける奸計。
 それと同時に彼の唇を塞ぐ。
 彼の驚きをよそに、私は更に深く、彼の中へと自らを侵略させた。
「やだもう、朱美でし?」
 私はその時から逆賊になた。
 彼女は何も知らない。
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