第一回 クオリティスターター検定
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ふんわりはじめ
(茶屋)
投稿時刻 : 2014.06.06 00:22 最終更新 : 2014.06.06 00:27
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- 2014/06/06 00:27:18
- 2014/06/06 00:22:09
ふんわりはじめ
茶屋


 さあああぁぁて、諸君! 物語の始まりだ。 
 そう!
 物語には始まりがある。始まらなければ物語じゃない。
 ファンタジーだって、SFだって、歴史だって、時代だって始まりがあったんだ。
 恋で終わる物語だって、死で終わる物語だって、始まりで終わる物語すらも始まりはあるんだ。
 It's a Right!
 Startだ!
 始まりさえすれば物語は続く。
 どう続くか何ざ知ったこっちゃないが、始まってしまったからには続くのだ。
 続くからには続けるしかない。もはやだいぶ続いてしまったと見るむきもあるが、ここで唐突に終わらせてしまうわけにもいかない。
 見切り発車で暴走列車、ディーゼルエンジンに蒸気機関。起承転結も緩急も知りはしない。
 さて!
 そろそろ始めようか。
 物語を。
 まずはどの話から始めようか。
 初めの物語はどんなものが良いか。
 そう、こんな話がいい。

 彼女は山羊座だった。
 そしてやぎ座デルタ星ことデネブ・アルゲディに住んでいる。
 デネブ・アルゲディは四つの恒星からなる。中心となる白色巨星は連星で、重心の周りを約一日の周期で公転している。さらに他の二つの星もその外側の系で回転している。
 ぐるぐる。
 ぐるぐる。
 回って回る。
 恒星から漏れる光の中に生まれる光の屈折パターンやら、強弱のパターン、空間の塵の相互がこの回転の中でさらに複雑なパターンを形成し、さらにそのパターンの中で彼女は回転している。
 ぐるぐる。
 ぐるぐる。
 彼女は回る。
 さて、諸君。回ろうか。ぐるぐるぐるぐる。
 山羊座の年に生まれた彼女だが、彼女は山羊座なんて言う概念は知っちゃいない。おおよそ39光年先の世界のことなんて知る由もない。
 もしかしたら太陽のことは知っているかもしれないけど。
 それでもあまりにも周りが眩しすぎるので、気づいていないかもしれない。
 それに彼女自身の一部が光であるのだから。
 ある時、彼女は旅に出て死んだ。
 そう、光の費える処まで行ってしまったのだ。
 悲しくも、愛しき物語だ。
 その始まりの物語をこれから始めようと思う。

 はじまりは地球だったりして現代だったりする。
 今度はさそり座の女で、彼氏と喧嘩別れしたばかり、ヤケ酒を飲み始めたばかりなのだ。
 糞忌々しい男の顔を思い出すたびに、怒号を発せずにはいられず、隣の住人は事件のにおいを感じ警察を呼ぶべきか思案するほどである。 
 そもそも私はなんであんな男と付き合ったんだ?
 女は酔った頭の大回転で必死に彼氏との出会いを思い出そうとする。
 そうだ。
 あの時の出会いが、すべての始まりだったんだ。
 だから、その少し前、そこから物語を始める。

 出会いの少し前、彼女は小説を読んでいた。
 その主人公は胃(えきえぼし)を見つけ、吉凶を占おうとする。だがすぐに考えを取り払う。
 我が命運、星になぞ頼るものか、と思うのだ。
 これから兵を挙げ、都に攻め上るのだ。天下も取れるやもしれない。
 天下は天がとらせてくれるのではない。
 自分がとるのだ。
 自らが切り開く道、その始まりは何時だったかと回顧する。
 そうだ。あれが始まりだったのだ、と男は思う。
 さて、この男の始まりそれを語るべきであろう。

 男が生まれたのは斗宿の星のもとに生まれた。
 赤子であったその男に向かって語り掛ける男がいる。
 男の語り掛けているのは物語だ。
 さて、きみ。いや、やはりのりがよくないな。
 いっちょ気合い入れるか。

 さあああぁぁて、諸君!
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