勝手に連動 第19回ぽい杯スピンオフ賞(土曜版)
〔 作品1 〕» 2 
ちょっとまじで聞いてくれる?この前の話なんだけどさ……
茶屋
投稿時刻 : 2014.07.12 15:32 最終更新 : 2014.07.12 15:32
字数 : 1669
5
投票しない
目次
 1 
 2 
全ページ一括表示
更新履歴
- 2014/07/12 15:32:48
- 2014/07/12 15:32:24
1 / 2
ちょっとまじで聞いてくれる?この前の話なんだけどさ……
茶屋


「ご注文はお決まりでしうか」
「あ、俺コーヒー。お前は?あ?ビール。全く俺が運転するからて調子のんなよ。ま、いいや。じあコーヒーとビールで

 でさあ。俺この前行てきたんだよね。あの幽霊屋敷。そうそうあの山ん中にある廃墟。うん。それ、なんか一家惨殺事件があていうやつ。なんだけな父親と母親と女の子と男の子。未だ犯人が捕まてないていう噂のな。
 昼間?んなわけねえだろ?ちんと深夜に行てきたよ。真夜中だよ真夜中。真暗。車で行たんだけどさ、車のライト消したらもうなんにも見えねえのな。近くに電灯もねえの。一応懐中電灯持たから問題なかたけど。門があて南京錠かけられてたんだけどさ。ぶ壊されてんの。ああ、ヤンキーとかがやたんだろうな。門にスプレーで落書きとかしてあたし。不法侵入?まあこの際細かいことは気にすんな。入たの俺だけじねえしよ。まあさ、やぱりぼろぼろなんだよね。玄関の戸もだいぶ傷んでてさ結構開けるのに苦労したんだよ。ぶ壊しちまうんじないかてヒヤヒヤしたよ。
 中も足の踏み場もないて具合に荒れててさ、ゴミだのなんだのてので溢れてるんだよね。ヤンキーのたまり場になてたのかもしれんけどそれにしてもゴミありすぎて感じだたよ。そんなこんなでさ。台所とか風呂場とか、回たわけよ。勿論二階も行た。けどそん時は何もなかたんだ。意外とつまんねーて思て、還ることになたわけ。そしたらさ、財布落としてやんの、俺。馬鹿だねーて彼女にも言われてさ。彼女もう行きたくないていうしさ、しかたねーから一人で取りに行くことにしたんだよ。なんにもなかたつても何だかんだで気味悪しあんま行きたくなかたんだけど結構な大金入れてたんだよね。
 どこに落としたんだろうなーと思たんだけど、多分二階の部屋から帰る直前にふざけた時だろうて思てそこにいたわけよ。多分子供部屋だたんだろうな。ボロボロのぬいぐるみとか飾てあてさ。まあ財布は見つかたんだけど、ふとね、机の方見たんだ。勉強机。子供サイズの。
 そしたらさ。机の上にあたんだよ。
 位牌が。
 さきまでそんなもの見当たらなかたのにさ、ぽつんと一つ、位牌が置かれてんの。うわ、これやべえて思てたら、後ろのほうでとととていう子供の走る音みたいなのがして。うわ。やべえて思たんだけど、もしかして彼女かもて思たんよ。でもさ窓の方見たら彼女が手たりしてきてんの。これもうやべえわて思て急いで戻たんだよね。財布あて言いながらさ、財布を持ち上げてみせるわけよ。そしたらなんか彼女青ざめてんの。何だ?て思て俺も手に持てるもの見たんだ。そしたらさ、位牌だたんだよ。俺、位牌持てきたんだよ。うわと思てびびてたら、後ろで急に寒気がしてさ、耳元で

「返してよ」

 て男の子の声が聞こえたんだ。うわもうだめだて思て逃げ帰てきたよね。まじ怖かたわもう。
 あ?何?何て何だよ?彼女は彼女だよ。決まてんだろ。は?俺に彼女いたかて?いるに決まてんだろ。ちと待て彼女の写メあから。ほら、これだよ。これ。な?かわいい
 は?俺一人しか映てねえ?何言てんだよ。そんなわけねえだろ。いるんだよ俺には彼女。いるんだよ。彼女はいるんだよ。いるんだよ。彼女は。いるんだ彼女。彼女はいるんだ。いるんだよ彼女は。彼女はいて、いるんだよ彼女。彼女だよ。だよいるんだ彼女。彼女だよいるんだ。いるんだ。
 ほら、お前のすぐ後ろに」

「ちと先輩、いいですか?」
「おう。なんだ?」
「さきからおかしいんですけど」
「何が」
「あそこのお客さん、一人なのに二人分の注文するし、それにずとブツブツ喋てて……
「は?」
「ほらあそこですよあそこのお客さん」
「何言てんだ。あそこに客なんていないぞ」


【了】
続きを読む »
« 読み返す