きらら397はレコーディング活動に専念しています <粗挽派>
――かつて田植えをしていたのは、ほかでもないイネ自身だ
った!!
これまでの常識を覆すこの発見は、雨酸草伊蔵教授らによる絵巻物の調査で最近明らかになったものだ。
宮廷で和歌を詠む十二単の大和なでしこ。その横には、春には田に水を引き、夏には案山子を立ててアイガモを飼い、秋にはヤンマーディーゼルを爆走させて稲穂を刈り取り、冬には千歯こきで脱穀する働き者のイネが詳細に描かれていた。これだけ保存状態のよい絵巻物が吉野狩遺跡から発掘されるのは珍しいという。
では現代のイネはどうして稲作をしないのだろう。雨酸教授に話を聞いた。
「ひとことで言うと、価値観の変容ですね。そして当時のイネは現代のイネのように職業選択の自由がなかったことがわかっています。親の家業を受け継ぐのがイネ社会のしきたりだったのです。
しかし1970 年代からはじまった国の減反政策によって、イネをとりまく環境も激変しました。現在の主流銘柄はこの政策の下で生まれた世代のイネたちなのです。
たとえば、あきたこまち。これは美人なだけで働くことを知りません。そのあきたこまちにのぼせ上がってしまってやはり働かないのが、ひとめぼれです。また、きらら397は、Jackson5、U2、Blink182、それにSUM41といった数字系洋楽アーティストの一員として90~2000年代に一世を風靡しましたが、近年、AKB48の登場によって国内シェアを一挙に奪われやむなく一時活動停止、その後最近になって再始動し、今はレコーディング活動に専念しています。
コシヒカリは一番働きそうですが、残念ながらそんなことはありません。みなさん、田んぼで光るものを見てホタルだと言うでしょう。でも実はホタルなんてめったに飛んでいません。あれはほとんどがコシヒカリの発光なんです。夜にあんなに光っていては、昼間に田んぼを世話することなんてできませんよね。キラキラメイクをしておじさまたちと夜の街に繰り出すホステスさんが昼間は家でぐうぐう寝ているのと同じことです。
強いていえばササニシキがたまの休暇で水田に来るぐらいでしょうか。しかしそれですら、作者がササニシキという名前に掛けた話を思いつかなかったからにすぎないのです」
教授の研究グループは、今後さらに絵巻物のX線分析を行い、描かれたイネが現在のどの銘柄の先祖なのかを遺伝学的に特定する予定だという。
(今回の発見は弊社考古学雑誌『捏造ゴッドハンド 10月号』で特集する予定です)