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天を登る
茶屋
投稿時刻 : 2015.07.11 20:07
字数 : 2869
5
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コメント
※ このコメントには、作品の展開や結末に関する内容が含まれています。
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 ずっと坂道を登り続けるって、私には天ではなく地獄にいるように感じるんですが……。幸福の感じ方は人それぞれということでしょうか。
 主人公の幸福と「天」に対する考え・迷いはなんとなく分かったので、その考え・思いを抱いた主人公が坂道を登りながらどう変わっていくのかというのを見てみたいと思いました。だいぶ坂道を登っていたなら様々な形の「天」にも出会っていると思うので、その「天」の中で一つだけ取り上げて詳しく書いて主人公にどんな影響を与えたのかを書いてみても良かったのではないかという気もします。どんな「天」があったのか、というそっちの方が私は気になりました。
 余談ですが、読んでいて「キノの旅」を思い出しました。
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昇が登って行く(この辺りの何気ない言葉遊び、好きです)中で出会ったのは、恐らくそれぞれの時代で生まれてきた集落・都市なのだと思いました。

以下は僕が勝手にこの小説をそう感じたというだけですので、偏った感想になっていると思います。

最初の場面は弓を使っていることから旧石器時代~古墳時代あたりなのでしょうか。昇は集落にいた男に、ここは天かと尋ねます。男は、自分にとってはここが(恐らくその時代に生きる者にとっては)天だと言います。昇はそこからさらに坂を登って行き、文明がどんどん進んでいく中、各時代の集落や都市を巡っていきます。
各々の時代に生きる人々から、それぞれの宗教観、天に対する考え方、幸福とは何か、ここは天国か(天国のように感じられる環境か)尋ねていきます。
時には文明の退化を望む者たちに行き当たりながら、それぞれの時代の幸福を昇は尋ねていきます。その時代に生きる者の幸福とは何か、その時代に考える天とは何か、自分のいる場所が天だと(あるいは天国のように)思えるか。
読者から見れば歪んだ幸福の形をも、昇は時代の坂を上るという形で見つめていきます。
人類が生きてきた歴史を坂と喩え、そこを登っていくという発想、そしてそれぞれの時代に生きる人の幸福を天と結びつける発想はとても面白かったです。何と言うのでしょう、各々の時代の宗教観や幸福に対する考え方を、昇が見ていくという発想が面白かったです。そして昇が幸福とは何かを考える。『天』という存在が最適化された幸福を個々人に与えてもいいのではないかと。しかし、それぞれの天に対する考え方、幸福に関する考え方が、いささか型どおりになってしまっているのが惜しく感じられました。
そしてニノボルというキャラクターが、言葉遊びというより、どうしてもお題を回収するためだけに現れた存在のように思え、強引さのようなものを感じてしまいました。

しかし、やはり世界観の作り方、ちょっとした皮肉のような表現の仕方が茶屋さんらしくて、とても面白かったです。ブラックユーモアのような、良いショートショートだと思いました!
 
 作者の意図しない変な読み方をしてしまっていたら申し訳ないです…!
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