てきすとぽい
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穴
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〕
…
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〔 作品5 〕
巌窟
(
金銅鉄夫
)
投稿時刻 : 2018.12.13 10:51
字数 : 533
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巌窟
金銅鉄夫
今でも時々思い返す。
“彼ら”は何処へ行
っ
たのか。
僕がまだ小学生だ
っ
た頃、近所に防空壕か炭鉱の跡地があ
っ
た。当然入り口にはネ
ッ
トフ
ェ
ンスが取り付けられ、子どもにもわかるように絵入りの立入禁止と書かれた看板が設置されていた。当時の僕は、晴天の強い日差しの中でも奥が真
っ
暗な洞穴に薄気味悪さを感じ、覗くことすら怖か
っ
た。
そのすぐそばを通る国道では昼夜問わず交通事故が多発していて、大抵は単独事故だ
っ
た。父から聞いた話だと、ほとんどのドライバー
は「歩行者が急に飛びたしてきたから、避けようとハンドルを切
っ
た」と説明していたらしい。飛び出してくるのは老若男女様々だ
っ
たが、皆同じ方向に横断していたようだ。渡
っ
たその先に、例の洞穴がある。
僕も一度だけ、祖母がその道を横断するのを遠目に見たことがある。だけど、祖母は僕が小学校に入る前に亡くな
っ
ているので、他の人と見間違えたのかもしれない。
ある時、隣町の中学生たち数人が洞穴に入り、一人が行方不明にな
っ
た。その事件をき
っ
かけに入口は埋められてしま
っ
た。
以来、あの国道での交通事故はなくな
っ
た。
だが、行き場を失
っ
た“彼”らは何処へ行
っ
てしま
っ
たのか
……
。
街ですれ違う人々の中に“彼ら”が紛れているのではないか、そう考えることがある。
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