第28回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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夕焼け色のワンピース
投稿時刻 : 2015.08.16 15:05
字数 : 1000
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夕焼け色のワンピース
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「ヨオちびすけ、今日もしけた面してやがんな」
 塀の上でうとうとしていたらブチさんの声がした。耳が反射的に動いてしまたけど、僕は振り返らなかた。
「カ 無視かよ、無視。よくもまあ毎日飽きずにおんなじものばか見てられるな。そんなに消えたご主人さまが恋しいか?」
「別にそういうんじないけど」
 僕は生返事をして、寝返りを打つ。
 宇宙から侵略者がやてきて、ある日突然地球から人間がいなくなてしまた。僕らには何が起こたのかさぱりわからなかた。後からもの知りな犬のハカセが色々教えてくれたけど、理解が難しい。
 宇宙人は地球に磁場だとか、重力操作だとかなんだかそんな、謎の目に見えない力を沢山かけて、時空を歪ませた。あちらこちらにワープゾーンとかいうのが出来て、人間たちはそれに飲み込まれていたとかなんとか。だが宇宙人は極度の犬猫アレルギーで、ここを本格的にテラフミングする前に撤退していてしまた。
「なんか、幻覚が見えるんだよね」
「カー お前、ご主人様が恋しくてそんな二本足みたいなもんが見えるようになちまたのか」
「うん。あのワープゾーン、赤みがかて見えるんだあ」
 捨て猫だた赤ん坊の頃の僕を拾てくれたミカちんは、ご主人様というより、僕の大親友だた。彼女がワープゾーンに飲み込まれていたときのことをよく覚えている。何が起こたのかわからないと言う風に空に目をやた次の瞬間、その体は消滅していた。
 赤色ていうのは、僕ら猫には見えない色だ。そしてミカちんの憧れの色だ。お兄ちんのおさがりばかり着せられていたミカちんは時々、近所のマミちんみたいに赤のワンピースが着たいと泣いて、お母さんに怒られていた。ぐずぐず鼻を言わせながらボクを抱きかかえて公園のブランコに乗ていると、ワンピースを着たマミちんが通りかかて、ようやく泣き止みそうになていたのにまたしくりをする。僕の目には、マミちんのワンピースとミカちんの黄のTシツが同じ色に見えるから、彼女が何を悲しんでいるのかよくわからなかた。
 ワープゾーンは夕方の空の色に似ていた。青みがかた薄い灰色。それをじと見ていると、ミカちんの姿がぼんやりと浮かび上がて、その背後に、僕の知らない色が見える気がする。本当は赤色なのかわからないけど、とてもそれが綺麗だから、あれが赤色だたらいいなと僕は思ているのだ。
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