てきすと恋2016~サルでも読める恋愛小説大賞~
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真実の恋
(茶屋)
投稿時刻 : 2016.12.12 17:09 最終更新 : 2016.12.12 17:10
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更新履歴
- 2016/12/12 17:10:13
- 2016/12/12 17:09:57
真実の恋
茶屋


 拝啓

 秋も過ぎて風も身に染みる季節になってきましたね。それでもこちらはまだ暖かく、雪もめったに降らないせいか木々には赤や黄色の葉がついたままです。枯葉は尽きることを知らぬようで、掃き集めても次の日には枯葉だらけです。いつか世界が枯葉に埋まってしまうんではないかと心配しています。
 嘘です。
 いかがお過ごしでしょうか?
 こちらは相変わらずです。
 毎日男たちの上を歩いています。仰向けに寝そべって、整然と並んでいる男たちです。様々な年齢の、様々な身長と体重の男たちがまるでパズルのピースがはめられているかのように規則正しく並んでいるのです。あたり一面男だらけですから端のほうがどうなっているのかは知りませんが、きっときちんと並べられているんじゃないかと思います。
 男たちの上を歩くのはちょっとしたコツがいります。はじめのころはつまずいたり転んだりしていましたが今では慣れたもので、彼らの上でダンスだって踊れる自信があります。
 踏まれた男たちにも痛覚があるようで、う、とか、ぐ、とかうめき声をあげますが、別に気にしません。
 だって私が転んでしまうよりはましでしょう?
 時折、気に入った男を見つけると、男の腹に座って話しかけます。
「おはようございます」
「うん、おはようございます」
「いい天気ですね」
「うん、いい天気ですね」
 最初はオウム返ししかせず、ぎこちない会話しかできません。私は根気強く語り掛け続けると、男は次第に他愛もない会話や歌を歌うことを覚えます。
 やがて、たまに全然ダメな時もありますが、愛を奏で始めます。
 それはとても綺麗で、とても心に響くメロディなのです。心地良いメロディにうっとりした私がほほ笑むと彼もうれしそうです。
 でもそんな楽しい時間も長くは続きません。
 男は次第にやつれていきます。
 それはきっと愛を奏でるのにとても活力を使うのと私が養分を吸収しているからでしょう。そして私が決して男に養分を与えないからでしょう。
 やつれがひどくなってしまうと愛に雑音が混じり始めます。そうなったら終わりです。
 私はそっと腰を上げ、男から去っていきます。男は懇願の声をあげますが、よほど暇でないかぎり無視します。
 男はきっとそのあと死ぬでしょう。懇願し続け、私を求め続けて、やがて枯れ果てて。
 あなたはまた不憫そうに「君は真実の恋を知らない」なんておっしゃるんでしょうね。
 でもこれが私のやり方なんです。
 これが私にとってたった一つの、そして真実の、恋のやり方なんです。

                                          敬具
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