どうか
ある日少年が散歩をしていると、少女に出会いました。少女は言いました。
「私にはじかんがありません。どうか手伝
ってくれませんか」
少女は木に引っかかったふうせんを見ていました。
少年は「じゃあおんぶしてあげる」と言いました。少年は背が高かったのです。
ふうせんは取れましたが、少女はくつの汚れを見ていいまた言いました。
「まあどうしましょう。このあと約束があるの。どうか手伝ってくれませんか」
少年は「じゃあくつをみがいてあげる」と言いました。少年はくつみがきだったのです。
くつはきれいになりましたが、少女は時計を見て言いました。
「でもざんねんね。もう間にあわないわ」
「いったいどんなやくそくだったの?」
「結婚式よ」
少年は「じゃあ僕が結婚してあげる」と言いました。少年はいい顔立ちだったのです。
だけれど少女は言いました。
「急いでも恋は逃げないわ」
少年は「そうだね」と言いました。少年はものわかりの早い人だったのです。