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第36回 てきすとぽい杯〈紅白小説合戦・白〉
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時を越えて
 投稿時刻 : 2016.12.11 00:04
 字数 : 1036
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時を越えて
永坂暖日


 小さい頃から、家の中で静かに過ごすのが普通だた。ほかの子供に混じて外で遊びたかたけれど、ちと走るとすぐにひどい咳が出て、とてもくたびれてしまう。それに、お医者さんにも我慢してねと言われていた。
 だから僕は、家の中でじと過ごしていた。小学校に上がてもそれは変わらなくて、学校が終わると友達は公園に行て野球やサカーをするのに、僕はますぐに家に帰ていた。時々はうちに友達が来て遊ぶことはあたけど、みんな外で遊ぶ方が好きだた。
「おねえちんが結婚して子供ができたら、竜臣君、一緒に遊んであげてね」
 僕が小さい頃から時々遊びに来る親戚のおねえさんは、僕が中学生の時に結婚して、一年後には女の子が産まれた。それから数年後には、男の子も。
 二人を連れて、おねえさんはやはり時々遊びに来てくれた。僕にとて、おねえさんの子供たちは妹と弟みたいだた。
 でも、彼らも成長するにつれ、外で遊ぶことの方が多くなていた。その頃には、僕は外で駆け回るのはあきらめていたけれど、あの子たちが遊びに来る頻度が減たのは、ちと残念だた。
 だけど、おねえさん一家は近所に住んでいる。二階の窓から眺めていると、楽しそうに遊んでいるあの子たちの姿を目にすることがよくあた。
 夏場、あの子たちを含めた子供たちは、家の近くのトウモロコシ畑に入り込んで迷路遊びをしうしていた。僕が小学生の頃、同級生もよく同じ遊びをしていて、うらやましいなと思たものである。家のすぐ近くだからいいじないかと思たけれど、迷路の中で倒れたら危ないと友達に止められて、僕はとうとう一度もあそこで遊ぶことがないまま、大学生になていた。
 でも、あの子たちを見ていると、子供の頃、やはりここから同級生たちが楽しそうに遊ぶのを眺めていたときの気持ちを思い出してきた。
 僕とだいぶ歳が離れているせいで、あの子たちとは遊ぶ機会がめきり減た。せめてもと歳が近ければ、もう少し一緒に遊べただろうか。あるいは、僕の時間だけが巻き戻て子供になれたら。それも、健康な体の子供に。そうしたら、あの子たちと一緒にトウモロコシ畑の迷路でも、公園で野球でも何でも、できただろうか。
 僕は大きくせき込んだ。最近、体の調子がよくない。この夏は特に暑いせいか、すぐに横になてしまう。
 子供たちの歓声を聞きながら、僕はベドに寝そべた。扇風機の風を感じながら、やがて眠りに落ちていく。
 僕はその日、子供になてあの子たちと遊ぶ夢を見た。
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