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第42回 てきすとぽい杯〈紅白小説合戦・白〉
〔 作品1 〕» 2  8 
 投稿時刻 : 2017.12.09 23:06
 字数 : 1423
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観察者たち
゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.


『グワー
 無線で繋がている同胞の叫びと共に、スコープの視界が真白に染また。
「おい、ポポ、大丈夫か、応答しろ!」
『もうだめだ、全員退避、退避ー!』
 指令が下る。俺はスコープをその場に捨てて、シプへ向かてかけだした。
 俺がシプに乗り込んだと同時に、扉が閉められた。
「出力全開、亜光速ワープ!」
 シプは太陽系外に向けて動き出す。
 肩で息をしながら、船員の数を数えた。太陽系第4惑星に降り立たときの仲間は10人だたが、4人になている。
「ちくしう」
 最年長乗組員のロロが吐き捨てるように言た。戦闘で足が一本吹き飛んだらしい。膝から白い血液が流れ出ている。俺は救急道具を取り出し、手当をした。
「また、ガセネタをつかまされたか。連中め」
「いや、もしかしたら、あながちガセではないかもしれません」
 情報解析担当の最年少、ノノが、デスプレイに動画を映し出した。
「これを見てください。みなさんが遺跡でアンドロイドと戦ている間に、ドローンで周辺を撮影したものです。崩れ落ちた建物の陰に……ほら」
「これは」
 俺は目を見開いて、ノノが指した部分をじと見つめた。距離と、暗さと、砂埃のせいで、極めて不鮮明ではあるが、そこには、確かに、何かが映ていた。
「サーモグラフで解析した様子です」
「これは……有機体……恒温動物……
「哺乳類かは断定できませんが……
「だが、二足歩行をしている。これは……まさか、本当に……
「ついに俺たちは、野生のホモ・サピエンスの撮影に成功したというのか?!」
 興奮して立ち上がた俺の肩を、ロロがそとたたいた。
「だめだ」
 最年長のロロの声は落ち着いていて、俺の心を不思議と冷静にさせる力がある。
「ドローンで撮影した不鮮明な映像では、だめだ。自分の足と手で、ハンデカメラで撮影した写真、それ以外は、観察の記録としては認められない。少なくとも、連中が認めない」
「ヒマン同好会のくそたれなこだわりに付き合う必要なんて、あるんですか?! ホモ・サピエンスの撮影は命がけだ。生身の身体で撮影可能距離まで接近するなんて、不可能だ!」
「だが、やるんだ!」
 ロロのはきりとした声が、船内に響き渡た。
「秘密結社・有機体愛好連盟の誇りにかけて。誰にもケチをつけられない撮影の記録を残す。どの団体よりも、先に」
 その力強い宣言に、俺たちは奮い立た。
……てやろうじねえか」
「それじあ、まずは、ヒマン同好会を出し抜く作戦からだ。やつら、俺たちを太陽系第四惑星に誘い出して、情報を得ようとしていたんだ。この船も、おそらく盗聴しようとしているはずだ。あと1分で、やつらの射程距離に入る」
「そこで、やつらに偽の情報を聞かせて、誘導するんですね」
「そうだ。今回の探査で、ホモ・サピエンスの古代遺跡の構造がだいぶわかた。最も戦闘力の高いアンドロイドが高密度に配置された場所にやつらを向かわせて、自滅させるんだ」
「あわよくば、アンドロイドと同好会の連中が共倒れになてくれれば」
「俺たちは心置きなく第四惑星を探索できるというわけだ」
 ロロの立てた作戦に、俺の胸は躍た。
 幼い頃、図鑑で見た太陽系第三惑星の古代生物の姿に魅せられ、150年。
 アンドロメダ星雲を去る時に見た母の涙は今でも思い出す度胸が痛くなるが、それも、ついに報われる。
 ホモ・サピエンス。それさえ、見ることが、そして、撮影することができれば。
 俺は8本足で高鳴る胸をぎと押さえた。
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