てきすとぽい
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゚+.゚ *+:。.。 。.世 紀 末 ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。
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日、没するエデン
(
浅黄幻影
)
投稿時刻 : 2018.07.17 20:43
字数 : 1838
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日、没するエデン
浅黄幻影
プロジ
ェ
クト・エデンが世界会議において承認された。
このプロジ
ェ
クトが本当に実現するなどとは、世界のほとんどの人が信じていなか
っ
た。だから予想外の嬉しいニ
ュ
ー
スに喜ぶ人が多い一方で、懐疑的な人々も少なくはなか
っ
た。なにせ今まで数千年もかけて争い血を流していた人類が、再び楽園を手に入れようという計画だ
っ
たから。しかしこの表現には誤謬があ
っ
て、懐古的思想によるエデンへの帰還ではなく、科学によ
っ
て新しいエデンを手に入れようというものだ
っ
た。
人類の叡智が集結して、エデンは建設された。九十九パー
セントの人々が理解できないほど高度な技術が使われて、楽園は世界のある場所、海の上に作られた。かつてアトランテ
ィ
スがあ
っ
たとか、なか
っ
たとか、そんなところだ
っ
たが、おそらくそれに気づくものはほとんどいなか
っ
た。あまりに時間が経ちすぎていて、伝説さえも朽ち果てていた。
数年の歳月を経てエデンは完成した。しかしそれは、今までに抱いていたエデンの姿とは、ほど遠か
っ
た。太陽に届くかというほど、どんなに背を反らしても上が見えないような巨大な塔だ
っ
た。言うまでもなく人々にあの塔を想起させた。
世界中の人が住むことを許される巨大な楽園だ
っ
た。しかし全員が到着するまでにはかなりの時間が必要だ
っ
たし、到着した人がどう生活するかについても、安心で完全な計画はは
っ
きりとは存在しなか
っ
た。これはま
っ
たく新しい、人類の幸福にいたる試みだ
っ
たからだ。幸福を目の前にしても、人々はどうしていいのかわからなか
っ
た。
まだ世界人口の三パー
セントしか登塔していなか
っ
たある日だ
っ
た。人々が汚染された地上から脱出できたと思
っ
たのもつかの間、それからた
っ
た一日と一夜ですべてはひ
っ
くり返
っ
た。塔は土台から崩れ、人もものも、何もかもが海に沈み、最後には何も残らなか
っ
た。
そしてこれは地上もおなじことで、世界は終わ
っ
ていた。火山は噴火し、海は希硫酸となり、地面はことごとく引
っ
剥がされて岩や金属が露出し、あちこちから水銀を引きずる水が流れ出ていた。もう電気も水も家も道もなく、焼け出された人々には着るものさえ残されず、明日の当てもなか
っ
た。
世界がどうして終わ
っ
てしま
っ
たのか、は
っ
きりしたことは誰にもわからなか
っ
た。始まりの合図さえ、誰も聞いていなか
っ
た。
元=歴史学者と元=生物学者はこの状況を、どこかの旧=国家間の争いの結果だろうと話していた。
「プロジ
ェ
クト・エデンは失敗でしたな。あれは汚れた地上から脱することができても、人間自身が持つ悪心までは拭えなか
っ
た」
「さよう。結局は、互いに相手の持
っ
ているものを羨ましく思
っ
ていた。派遣を欲する悪い癖も消せなか
っ
た。エデンと同じ、つまり技術の粋を尽くした一発のミサイルが始まりとな
っ
て、すべてを消してしま
っ
た。おかげで私たちはせ
っ
かくのエデンを二度も追放されてしま
っ
た。三度目があ
っ
たら次はどんな罪か」
「私たちはどこで道を間違
っ
たんでし
ょ
うな」
「私が前に目を通した本では、異端者たちが町中に毒ガスを撒いたということだ
っ
た。あれは人類史に残る出来事だ
っ
た。この事件は人間が平和を治めていたはずの時代が、いつまでも殺戮を拡大させてることの発見の契機だ
っ
た」
「しかし毒ガスで言うなら、二十世紀初頭には戦場の風上から風下へ、塩素ガスを撒いて塹壕やバリケー
ドを一夜にして壊滅させた、と私は聞いたことがある。それまでは銃剣、大砲というもので戦
っ
ていて、生還するものも多か
っ
た。それが、実戦で空気までも使
っ
て大量殺戮を始めてしま
っ
た。これは重要視せねばならないでし
ょ
う」
「殺人道具が進歩したことを私たちの失敗理由にするのなら、火薬の発明、鉄器の発明、人類初めての殺人のカインとアベルまで戻らないと。もうず
っ
とず
っ
と前から、私たちは殺人というものを発明していた、そもそもがそこからだ」
「してみると
……
なんだね、私たちはどこから間違
っ
ていたのかね」
「最初からじ
ゃ
ないだろうか。エデンに逃げても宇宙に逃げても、人間という自分自身からは逃れられなか
っ
たのだろう。もう一度、人間というものをやり直した方がいいのかもしれない」
「やり直したら上手くいくだろうか」
「失敗作の私たちには、何が成功なのか想像もできやしませんな」
しかし、と元=学者の一人が言
っ
た。
「もう一度やり直すには、いささか遅すぎですな」
夕日が山へ落ちようとしていた。人類は長い長い闇のなかを歩まなければならなか
っ
た。
地上にはもう、エデンはない。
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