第58回 てきすとぽい杯〈夏の特別編・前編〉
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海の底の方程式
投稿時刻 : 2020.08.01 18:21 最終更新 : 2020.08.01 18:28
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- 2020/08/01 18:28:37
- 2020/08/01 18:27:13
- 2020/08/01 18:21:57
海の底の方程式
合高なな央


 海底にある軍の研究施設。
 3人の研究員が2か月間の研究任務に従事していた。
 
 Aは新人研究員、IQ200で学生のうちから数々の業績があり、将来が期待されるエリート幹部候補生である。独身。
 Bはシングルマザー、8歳になる息子がいて、任務中はBの両親に預かてもらている。
 Cはリーダー、優秀な研究員で軍の勲章もいくつかもらている英雄である。55歳、妻は他界し娘は成人し嫁いでいる。
 
 3人の任務は順調に進むかにみえた。しかし1か月後、不運が重なり酸素供給装置が故障した。
 海水から酸素(と窒素)を作り出す酸素供給装置からは、施設内にあと2日分の酸素しか供給できない。
 折り悪く海上には記録的な熱帯性低気圧が発生しており、3日以上猛烈な嵐が吹き荒れる予報で、その間、海上からの救助は不可能だと本部から連絡が入る。
 2日分の酸素とは別に減圧症予防を兼ねた潜水服の酸素ボンベは海上まで二人分ある。
 しかし海面に浮上しても、嵐の中、無事に救出されるとは限らない。
 軍本部からの指示は曖昧で、どうやらABC3人の研究員でその後の行動を決定しなければならない。
 
 3人の研究員は状況を整理した上、各個人に分かれて1時間それぞれ思索し、そののち再びミーングを行てそれぞれの意見を述べ結論を出すことに決めた。
 Aはカプセル型のベドルームへ、Bはキチンスペースへ、Cはそのままミーングルームに残た。
 それぞれ一人になると、絶望的な状況の前に悲嘆し、涙し、また冷静に思考を動かそうと努め、未来を模索した。
 
 そして1時間後、再びミーングルームに3人がそろた。
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