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第58回 てきすとぽい杯〈夏の特別編・前編〉
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これは愛かもしれないしそうじゃないかもしれないなにかわからないけど抗えないきもち。
 投稿時刻 : 2020.08.03 10:10
 字数 : 1532
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これは愛かもしれないしそうじゃないかもしれないなにかわからないけど抗えないきもち。
住谷 ねこ


と腕立て伏せのかこのまま
泣きじくる彼女を見下ろしていた。

その前から小さく泣いてはいたんだ。
泣いている女をどうにかしようなんて趣味はないし
嫌がる彼女とホテルに入たわけじない。

と前から、折に触れて付き合てる奴との
すれ違いや、闇やらいろいろ聞いていて
まあ、男側から一言でいえば倦怠期だ。
彼女の方にはまだまだ倦怠期は来てなくて
その温度差が彼女を不安定にしてた。

最初は、めんどくさい女だなと思て話を聞いていたけど
聞いているうちに こんなに思われてんのにそいつなんなの?
て気持ちになて。つまりは好きになたみたいなんだよね。

冷たくされて泣いてたり、怒てたり
楽しい時間を過ごして嬉しそうに自慢そうに話してたり
そんなにいろんな感情を見せてくるのに
俺の事なんてちとも見てないと思たらなんだかたまらない気がしたんだ。

それで最近は自分をアピールしていた。
彼女の気持ちに寄り添て応援したり慰めたり
そして最後には必ず、「そんな奴、もうやめて俺にしなよ」て言い続けた。

そんな奴、俺にとてはくそ野郎だ。
本気だた。

こんなに好きになたのは二度目だ。
初めてて言わないところが本気度を表してると思うんだ。
彼女がしてほしいことは全部してやるつもりだたし
彼女が来てて言たら深夜だてどんなに距離があ
すぐに駆け付ける覚悟もあた。

そうやて何度か会て泣き言を聞いていて
ついに「もうやめようかな」て言わせることに成功した。

「俺と付き合う?」「うん」
「ほんとに?」「うん」
「俺のこと好き?」「うん」

何度も何度も確認し、好きだて何度も言
もう電車もなくて泊まることにな
それでホテルに入た。

彼女はすぐに抱きついてきた。
だけどさきの今だ。
「やめようかな」て言たから
まだ相手には何も言てないんだし
彼女の気持ちがちと自棄になてて
俺はそれに付け込んでるだけだ。

できれば今日は、何もしない方がいいと思ていた。
本当に好きになて付き合うことにな
そういうのでなければいやだた。

それくらい本気で好きになてた。

「今日、今じなくてもいいよ」
「ちんとほんとに別れてもう一度考えてからでいいよ」

最後まで言う前に口をふさがれた。

彼女のキスは乱暴で乾いていて
甘くて重い。

いいんだな。あとでいやだて言ても知らないからな。
そんな気持ちで腕に力をこめた。
悲壮感漂う彼女にキスをして
うるんだ目から涙がこぼれないように
服をぬがせるのは難しい。

泣くのを我慢して熱くなているその首筋の
匂いをかいで髪を撫で。
手を進めれば進めるほど罪悪感のようなものがこみ上げる。
こういうのを白けたていうのかな。
と違うな。嫌になたわけじなくて冷静になたんだ。
つきあいたいならやぱり今じないなて改めて思たんだ。

「やめよう、やぱ今日はやめとこう」

彼女は何度も首をふりながら「いいの」「へいき」を繰り返し
いま彼女から体を離したら傷つけるんじないかと思うと
やめることもできなかた。

でも結局、いざ。

ついに。

というところで 涙腺は決壊し声を上げて泣いていた。
かといて逃げるでもない彼女に自分も
どうすることもできないで
体重をかけないようにするのに必死だた。

あーあ。しうがないな。

うがない俺。
うがない彼女。
うがないくそ野郎。

もう少し落ち着いたら
もう少し泣き声が小さくなたら
と離れよう
それからここを出て
何か暖かいものでも飲んで
タクシーで送ていこう。

それで「またね」て言おう。
ものすごくバカみたいだけど。

彼女が俺を要らないと思うまで
いつでも応えられる姿勢でいようと思た。

ほんと、すごくバカみたいだけど。
そうしようと思た。

今は。
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