今回セリフと地の文のバランスがうまくいってないと思ったかな。
あとは札にいちいちイニシャルを書く男を読者がどう受け止めるかによって印象が違ってくる感じだと思う。わしにはストーカーじみた狂気をはらんでるように思え、またその狂気が作品にあんまり会ってない感じがしましたす。

互いの巡る時間が交差する刹那が物悲しくも温かい素敵な一篇ですね。年齢の嘘が「真実や事実が人を幸せにするわけではない」につながっていたり、イルミネーションの明滅が巡り合せのサイクルを暗示していたり、情報や小道具の描写が上手く物語を補完していたように感じます。もうひとつぐらい優しい嘘が散りばめられていたらテーマがより明確になったかもと思いました。川辺の個人的な話ですが、赤マジックで小さな丸が書かれた千円札を手にしたことがあるので、なんだか過去に感じた疑問が氷解したような気がして妙に楽しかったです。