休日の2時か3時
もしもでかけてたりしたら
帰ってきてから

それが　たとえ　もう夕飯よ
てな時間であっても

「おやつ」にしようか。

というのが
我が家の　
誰というのでもなく

みんなの口癖だ。

うちの家族は

おばあちゃん　しみ　76才
とーさん　真琴　　52才
かーちゃん　美香子　50才　対外的には47才
違いがあるのか？といつも疑問。

俺　駿太　25才　フリーター

妹　桂　19才　学生

という構成だ。

おばあちゃんはプリンとかゼリーとか
ババロアとか歯ごたえのない　ヌルんとしたものが好きだ。
だからって歯が悪いわけじゃない。
靴底のように固い　
心配になるほど安い焼肉食べ放題の牛を
うまいうまいと　なんなく食いちぎるほど
丈夫だ。

とーさんは「おやつ」という単語が似合わない。
まあ　歳相応にたるんだり
うすくなったり
多少はしてきたものの
どちらかといえば　
まだまだ　いけるっ　なにがいけるんだかわからないけど
とにかく　そういう外見をしながら
実は　我が家で一番おやつにこだわり
一番おやつを欲しがり
おやつにありつけないとか
おいしくなかったとか
根に持つタイプで
その好みは一貫しているようでしていない。
ヌルン系も好きだし
ふわふわ系も好きだし
歯ごたえのあるものも好きだ。
キンキンに冷やしたチョコレートなんて大好きだ。
洋物も和物も分け隔てしない。

いもうとの桂。
こいつは女のわりには
どこそこのパンケーキだの
どこそこのモンブランだの
クレープがとうしたとか
どこそこのデザートはうまいとか
コンビニの　自分にご褒美みたいな
ちょっと贅沢スイーツなんてのも興味ないらしく

俺の彼女はコンビニスイーツ命で
今日はがんばったから帰りにどこそこのなになにを買うんだっ
とか騒いでいて　なんだ？それ？　と聞けば
えーーーっ知らないのー？
流行ってるのにー
新製品なのにー
と　あの極上スイーツを知らない奴が
この世にいるなんて信じられない
それが　自分の付き合っている男だなんて
恥ずかしい
情けないっ　と嘆くほど有名らしいので　

「今、ファミマのなになにがうまいんだって？」
と　聞いてみれば　「？？？？？」な反応をするようなやつで

まあ　だからって食べないわけではなく
出されれば何でも文句も言わずに食べる。

まあそんなうちだから
とにかく昼飯と夕飯のあいだには
必ずおやつがなくてはならないのだ。

会社だ学校だ　お出かけだのときは
それぞれどうしているかしらないが
たぶんみんなそれぞれ何かしら
食べているだろうと思われる。

今日は休日で、珍しく家族5人だれも外出予定がなく
ちょうど隣の駅に新しいイタリアンレストランが出来て
ランチバイキングを始めたというので
なかなかそんな機会もないからと食べに出た。

そして帰り道。
バイキングだから値段負けしないようにと
普通よりばかばかと食べて
もう水も入りないというほど食べて
腹ごなしに一駅くらい歩いて帰ろうと
のろのろと心なしか腹を突き出し
何気に偉そうな感じの帰路。

「ねえ　おやつ買っていこうよ」

俺は吐きそうになった。
今　死ぬほど食ったのに
もう　おやつの心配かよ？

しかも　バイキングだ
しょぼいとはいえデザート類も
数種類合って
味見味見とほぼ全部食べたのに……

おやつ。

なのに

「じゃあ　あそこの　ほれ和風ドーナツ屋ができたでしょう？
　あれがいいな。　おばあちゃん　抹茶ね」
ば……ばあちゃんっ

「私はシュテルンのケーキがいいな
　最近たべてないし」
か……かかかか　かーちゃんっ

「おかあさんとおばあちゃんでじゃんけんでもすれば？
　私はどっちでもいいし。ドーナツならプレーン
　シュテルンならフルーツタルトでいいや」
おおおおお　おまええええっ

とーさん。
とーさん止めてくれ。
さすがに　今日はもういいだろうって言ってくれっ

「どっちも買えばいいだろう
　桂　ドーナツ買ってきなさい。
　駿　シュテルン行って来なさい」
だあああああああああああっ

っていってなかったけど
俺のことだけども。
俺は実は……
こういううちだから
大きな声では言えない。

言えないけどはっきりいっておやつは好きじゃないっ
つか　こういう環境で最近はほんっと食べたくない。

どうしても食えというならおやつというか
間食は「せんべい」が好きだ。
とくにピーナツ揚が大好物だ。

しょっぱいものが好きなんだ。

ああ　だれか。
誰か。
俺に味方をしてくれ。

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