てきすとぽいトップページへ
第10回 てきすとぽい杯〈平日開催〉
 1  2 «〔 作品3 〕» 4  16 
有罪無罪?
 投稿時刻 : 2013.10.18 23:27 最終更新 : 2013.10.18 23:32
 字数 : 2218
5
投票しない
更新履歴
- 2013.10.18 23:32:03
- 2013.10.18 23:27:49
有罪無罪?
たこ(酢漬け)


田中の朝食は納豆ごはんとお味噌汁とヨーグルトだた。あもういい感じにお腹の中が発酵されると思いながら朝のニスを見ていると、なんだか見知たような顔がテレビの画面に映し出された。納豆をかき混ぜる手が止まり、呆然と画面を見ていると、またすぐにテレビの画面が切り替わた。
 今度は先ほどのシリアスな雰囲気とは打て変わて、お天気おねさんが平和に全国の天気予報を映し出している。日本全国晴れの予報だた。あ今日もこの国は平和だななんて普段は思うのだが今日ばかりはとても平和な気持ちではいられなかた。
 そいつと田中とは狩り仲間で、田中は、オンラインの狩りゲームの中で田中と知り合た。
 その田中の知り合いである、そいつ、苗字は佐々木というのだが、佐々木は田中を差し置いて、ニスに顔写真が映し出されるほど出世してしまたのだ。
 世に出る、と書いて出世なわけだが、この場合は良い意味での出世とは言えなかた。つまり、佐々木の名が放送されたのは、電車内で痴漢、というテロプが付されたニスだたからだ。
 確かにゲームや萌えなどオタク的な趣味がある佐々木であたが、ゲームの中でも礼儀正しく、先日のオフ会でもとても紳士的な印象を見せていた。そういう男に限て、という世間的なコモンセンスはともかく、何かと話が合うなと思ていた田中は、佐々木のことが心配でならなかた。
 実は田中の仕事は弁護士であた。佐々木には隠していたが、それなりに勝訴の実績もある。田中は貴重な友人が心配になてしまい、気づけば電話の受話器を手にしていた。
 警察に電話をして、佐々木の場所を教えてもらた。どうやら佐々木は管轄の警察の留置所に留置されているようで、まだ家には帰ていないようだた。弁護士である田中は、最初は警察に突ぱねられたものの、何とか面会にこぎつけるよう説得することができた。
 どうやら佐々木はまだ弁護人もつけていないようだた。大切な友人のため田中は一刻も早くと佐々木のもとへと向かた。

 留置所での佐々木はグレーのスウトに身を包み、少し髭も伸びていて、先日のオフ会でのさわやかな印象が嘘のようであた。
「来てくれてありがとう。弁護士だたなんて知らなかたよ」
 まず最初に佐々木は礼を言た。
「いいんだ。それより、事件当時のことを教えてほしい」
「事件も何も、俺は何もやいないよ」
「やいない?」
「そうさ。ただボーと突て電車に乗ていただけさ。確かに満員電車で窮屈だたけど、そんなの当たり前だろ?」
「う、うむ。それで、被害者の子はなんて言てるんだ?」
「高校生の女の子だたけど、なんか、私ちんとこの人の顔まで見ましたて言ててさ、なんか周りの人にも睨まれちて、次の駅で警察呼ばれちてさ、この通りさ」
「お前、自分がやていないて、ちんと説明したか?」
「言たさ。でも警察は何も聞いてくれなかたよ」
 ふむ。と田中は思た。確かに警察も冤罪は怖いだろう。しかし、被害者がいる以上警察としても、手を引きにくいのだ。
「もと、当時のことを詳しく教えてくれないか?」
「詳しく?えと?」
「つり革にはつかまていた?」
「あ、つかまていた。えと、右手でね」
「左手は?」
「鞄を持ていたよ、ビジネス用の」
「お前、サラリーマンだたのか」
 なぜか田中は佐々木がサラリーマンであることに驚いてしまた。
「え、いまさら!?そんなことはいいだろう」
「すまんすまん」
「それで、女の子はどこにいたんだ?」
「おれの、左側」
「そうか」
 田中は少し考え込んでしまた。
「佐々木、お前は何か、当たているていう感覚はあたか?」
「いや、ないよ、あれ、でも、あたかな」
「そこ、そこをもうちと思い出せないか」
「いや、よく分からないな。ぼーとしてて気にしてなかた。」
 うむ。また田中は少し考え込んでしまた。目撃者もいない。あるいは見つからない。当事者の証言もこのままでは、佐々木は有罪になてしまう。なにか証拠を探さなければならないと田中は思た。車内を録画したフルムでもあればいいのだが、と思たが、そんなものあるわけがない。
 ビジネス用の鞄を手に下げると、鞄の位置は人の膝くらいになる。手の位置は太ももくらいだ。その位置の手が当たたくらいで、人は痴漢だと思うだろうか。
「佐々木、お前手を動かしたりしたか?」
「動かしてないよ。ただぼーとしてただけ」
「そうか。隣に人は立ていたか?」
「うん。隣はOLぽいスーツのおねさんだたよ。女の子は視界に入らなかた。警察の話では俺の左斜め後ろくらいにいたみたいだけど」
「そうか」
 田中は少し不思議なことに気付いた。もしその位置で二人が立ていたなら、佐々木が手を動かすには不自然な動きをしなければならない。これは重要な証言になりそうだと田中は思た。
「お前、それ、ほんとだよな?」
「あほんとだよ」
「信じていいんだな?」
「あ、あ、どうしたよ急に」
「いや、いいんだが」
 よし、もう一つ、と田中が思たとき、
「おい。面会はそこまでだ」
 屈強な体の警察官が二人の会話を遮り、佐々木はまた留置房へと連れて行かれてしまた。
 連れて行かれる佐々木は「うわああ田中ああああ」と叫んでいた。なんでかわからないが。
田中は心の中で必ず助けてやるからなとつぶやき、面会室を後にした。
 俺たちの戦いはこれからだ!たぶん!
← 前の作品へ
次の作品へ →
5 投票しない