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●登場人物
主人公;ひよ山豆子
結婚5年目の主婦。
基本マイペースだが、一度興味を持ったものには異常な執念を燃やす。
過去に勤務した職場では豆子からのアプローチに恐れをなし、異動を申し出る男性社員もいたほど。
が、豆子自身はそのことに気付いておらず、好意を持った男性が次々と転勤したことで、むしろ自分を悲劇のヒロインとして刷り込んでいる。
趣味は読書。ブックオフに行けば、半日は余裕。しかし、長年、将棋の歩兵を「ほへい」と思い込んでいた。
主要人物1:やまださん
短文投稿サイトで、豆子がフォローしているユーザー。
互いに面識はないが、豆子と同じ地域に住んでいる。
電子書籍を出版している作家。
ネット上の豆子のキャラを気に入っていて、以前、「豆子さんも小説書いてみない」と、すすめたことがある。
<あらすじ>
ある朝、豆子は郵便受けに一冊の手帳が入っていることに気がついた。
開いてみると、中には小説のプロットらしきものが書かれている。
不審に思いながらもそのままにしておくと、短文投稿サイトで仲のいいやまださんが「今、自分のプロットを他人に書いてもらうことを考えている」と、つぶやいていた。
豆子は、やまださんがこっそりプロットを送ってくれたのだと思い込み、その期待にこたえようと意気込む。
ところが、小説を書くのは生まれてはじめて。自分と同年代で家庭もあるやまださんが、何故こんな苦しい作業を好んで続けているのか、次第に悩むようになる。
尊敬と理解不能。そんな思いが芽生えはじめ、やまださんのつぶやきにも、これまでになかった感情が感じられるようになる。
書いては消し、書いては消し。家事の合間に、豆子は小説を書き続けていたが、ついに挫折する。
それから、しばらく。手帳がやまださんのものではないことが判明。勘違いだと分かった途端、豆子は放棄した小説の道筋が突然見えるようになる。
やまださんの期待とは無関係に、自分が思うように書けばよかったのか。そのことに気付いた豆子は、執筆という繊細な作業に魅力を見出す。
ついに「了」の字を打った豆子。処女作を印刷し、投函したその顔は達成感に満ちていた。
◆手帳のなぞ
持ち主は、こっそり小説を書いていた夫。
出勤する際に手帳を落としたのを近所の人が見かけ、郵便受けに入れていた。
◆やまださんが、豆子に手帳を送ったと勘違いした理由
やまださんは、もともとサービス精神が旺盛で悪戯好き。
短文投稿サイトでも、ヌーブラに張り付いたヤモリの画像を貼り付け、話題になっていた。
また、同じ地域に住むやまださんなら、自分の自宅も探せるだろうと豆子は考えていた。
互いのつぶやきにも、そう誤解させる会話があり、それが勘違いの裏づけにもなっている。
◆手帳のプロット
ファンタジー恋愛もの。ファンタジーはやまださんのジャンルだが、恋愛要素はいつも皆無なので、そのため他人に書かせたいのかと、またまた勝手に思い込む