第13回 てきすとぽい杯
 1  15  16 «〔 作品17 〕
テンプレート
ウツミ
投稿時刻 : 2014.01.19 01:56 最終更新 : 2014.01.19 02:55
字数 : 2374
〔集計対象外〕
5
投票しない
目次
 1 
 2 
全ページ一括表示
更新履歴
- 2014/01/19 02:55:58
- 2014/01/19 02:39:25
- 2014/01/19 02:13:01
- 2014/01/19 01:59:54
- 2014/01/19 01:59:25
- 2014/01/19 01:56:25
1 / 2
テンプレート
ウツミ


 閉ざされた部屋の中、その場にいる全ての人物の目は部屋の中心、ある一点に注がれていた。
 かつて鮮血の色を帯びていたであろうソレも、今はもう赤黒く変色している。

A「……間違いなく、死んでいるな」
C「いたいどうして……
B「見れば分かるだろう。背後から刃物で一突きだ。殺されたんだよ」
D「そんな……

 その場に重苦しい空気が漂う。
 昨日までの平和的な関係はそこには無く、誰もが瞳に猜疑の光を灯していた。

A「みんな分かているとは思うが、一応言ておくぞ。Eを殺した犯人はこの中に居る」

 そう、嵐に閉ざされたこの別荘は今やクローズドサークルと化している。外部の人間が入り込む余地は無かた。

A「まずは死亡推定時刻から確かめようか。昨日の22時までは全員がEを見ている。そこまでは彼は生きていたのは確かだ」
D「じあ、Eが死んだのはそれから今朝の9時にAとわたしが遺体を見つけるまでの間てことね」
B「昨日最後にEを見たのは誰だ?」
C「ああ、それなら俺だと思う。24時ごろ、Eがこの、彼の泊ている部屋に入ていくのを見たよ」
B「てことは、昨日の24時から9時までの間か」
A「そうなるな。……ところでC、昨日から今朝のアリバイはどうなている?」
C「お、おい! 俺を疑ているのかよ!」
A「ちんと全員に確認するさ。ちなみに俺は、昨夜の23時から今朝の6時頃まではBがアリバイを保証してくれる。そうだろ?」
B「ああ、そうだな。その間Aは部屋から一歩も外に出ていない。Aの部屋のすぐ外は俺の居たリビングだたしな」
C「じあBがずとリビングに居たて証拠はあるのかよ?」
B「リビングはエントランスの監視カメラに映てる。それを見れば俺がずとリビングに居た証拠になる筈だ」
A「C、そろそろお前のアリバイも話してはくれないか? 昨日から今朝、お前は何をしていたんだ?」
C「お、俺は……。ずと部屋で寝てたよ。俺の部屋はリビングとは離れてるから……。で、でも! 俺の部屋からEの部屋に行こうとすれば、必ずリビングの前を通るだろ!」
A「そうだな。この別荘には外に出入りできるような窓やなんかも無いし、CがEの部屋に行こうとすればBが見てるか」
B「ちなみに、Cがリビングの前を通たのは24時ごろだけ、Cの自室に向かている所だけだな。遺体を発見した時の声で部屋から出てくるまで見ていない」
C「そうだろ! それが俺のアリバイだ!」
D「でも、Eの部屋以外には行けたんだよね?」
C「それがどうしたて言うんだ? Eが殺されたのはあいつの部屋だろ?」
A「それとD、お前のアリバイも聞いておかないとだ」
D「わたし? わたしは昨日の22時から今朝の7時まで部屋を出ていないのはBが保証してくれるよね?」
B「ああ。Aと同じくBの部屋も扉のすぐ外がリビングだしな」
C「状況を整理しようぜ。Eが死んだのは24時から今朝の9時の間で、その間ずとBはリビングに居て他の全員のアリバイを保証してる」
B「ああ。Aが23時から6時まで、Dが22時から7時まで部屋を出ていない」
A「Cは24時以降アリバイが無いが、遺体発見時の9時までEの部屋には行ていない」
C「てことは、Eを殺せたのはAとDだけじないか!」
D「そんな、酷い! わたし達には無理よ!」
C「どこにそんな証拠があるんだよ!」
A「……鍵だよ。Eの部屋には鍵がかかてたんだ。そしてEの持ていた鍵は部屋の机の上に置いてあたのをDが見つけた」
C「はあ? あお前らどうやてEの部屋に入たんだよ?」
D「Eの部屋に入ろうとしたら鍵がかかてたの。Aにも試してもらたけど開かなくて、だからAにマスターキーを取て来てもらてわたしが開けたら……
B「ちなみにこの別荘の鍵は、それぞれの部屋の1本とマスターキー1本しかないぞ。複製やなんかも出来なかたはずだ」
C「鍵が中に閉じ込められていた……。じあ、Eの部屋は密室じないか!」
A「そういうことになる。開けられる鍵はマスターキー1本のみ」
B「マスターキーが置いてある管理人室はエントランスの横だし、入ろうとすれば監視カメラに映るな」
A「この別荘に訪れてから管理人室には誰も入ていなかたことはそれを見ればわかるだろう。つまりマスターキーは俺が管理人室に入るまでずと管理人室の中にあたことになる」
C「おいおい……。どうすんだよ、これ。完全に密室殺人じないか!」
D「じ……Eは自殺だた、とか……?」
B「おいおい、背中から一刺しだぜ? 完全に他殺だろ」
A「そうだな。この傷だと即死だただろうし、自殺を他殺に見せかけるようなトリクなどの痕跡も無かた」
C「でも、密室だたんだろ? 部屋の構造的に部屋の外から殺すのは無理だし、トリクを使た仕掛けも無い! 確かに犯人はこの部屋の中に居たんだ!」
B「てことは、『どうやて密室で殺したか』ではなく、『どうやて密室にしたか』が問題になるのか」
A「……ふむ。その考え方だと、犯人は絞られるな」

 そうして一同はもう一度互いを見つめ合い、その結論に辿り着く。
 閉ざされた部屋の中、犯人以外の人物の目は部屋の中に居る人物、その一点に注がれていた。
 かつて猜疑の色を浮かべていた犯人の顔色も、今はもう青ざめている。

 「犯人は、お前だ」


読者への挑戦
 『Eを殺した犯人は誰か?』

※補足説明
・犯人は単独犯であり、共犯は存在しない
・監視カメラの映像に嘘は無く、Bはずとリビングにおり、A以外は管理人室に入ていない
・容疑者5人以外は犯人になりえない
・隠し通路などの、説明されていない仕掛けは存在しない
・すべての居室は1つの扉以外から出入りできない
・扉は自動では施錠されない
続きを読む »
« 読み返す