更新履歴
- 2013/01/19 23:44:23
- 2013/01/19 23:29:50

　いよいよ旗揚げ公演が明日に迫っていた。
「結成してから2年。公演にこぎつけるまで時間がかかったなあ」
「今年こそ、うまくいくって信じてたけどね。俺は」
　どうして？と聞くと、熱田は二カッといつもの笑顔を浮かべて、そりゃあ初夢でみたからね、と応えた。
「初夢は実現するって言うだろう」
　どこまで本気で言っているのかわからない。だがこいつの、どこから来たのかわからない自信に引っ張られて俺たちがここまで来たのは間違いない。そして俺たちはどこかへとすすんでいくんだ。
「しかしつけたときはこんなにぴったりくる名前とは思わなかったな、劇団名」
「そうかい？ぴったりだったろ」
「あんたの、その名前通りの熱気にあおられ、揺さぶられてようやく俺たちもはじけることができた」
「熱と振動を与えられて、カタイかたい頭もがはじけたってわけだ」
「そして、身軽になったよ」
　そうだ。明日。劇団ポップコーンの初日が、始まるのだ。

1 2 3 4 5 投票しない	感想：10
ログインして投票