てきすとぽい
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バッドエンドについて
(
ayamarido
)
投稿時刻 : 2014.02.08 19:19
字数 : 1280
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バッドエンドについて
ayamarido
中国製の安いPCを捨て、いざ待望のソニー
VAIOを購う時きたれり、と意気揚々と発注した矢先、ソニー
本社において、VAIOブランドを外資へ売り払う決定がなされた。
すなわち、
「これはバ
ッ
ドエンドではないだろうか」
と思うたのだけれど、さほどバ
ッ
ドでもなし、そもそも、
「ソニー
のVAIO!」
を入手できるのだから、これはむしろグ
ッ
ドじ
ゃ
ないかと、自らを慰められるので話は違う、では何がバ
ッ
ドエンドであろうかと考えたところが、
「ふひひ、書こうとした小説が最後まで思い浮かばないことがバ
ッ
ドだぜ」
で、幕引きを図ることでどうだと考えたのだけれど、その程度の発想をする人なんて何人もいるだろうし。
「じ
ゃ
あ、この雪だ。東京に遊びに来た挙句、この大雪で新幹線がとま
っ
て家に帰れない。停電も起きた。ああ何て悪い結末だ!」
と言
っ
てみたところが、や
っ
ぱり、おもしろくも何ともない。
思い返せば、うえはるさんの入選絵を見るべく訪れた渋谷から、浮世絵の太田記念美術館の原宿まで歩いたその間、ず
っ
と細川護煕の選挙カー
と併走する破目になり、ガラス製の、パンダのオリみたいな選挙カー
の荷台に、二人のおばさんと、一人のおじさんが乗り込み、赤い服を着て、マイクを握
っ
たおばさんが、
「細川護煕、細川護煕。ほ、そ、か、わ、護煕。ありがとうございます。ありがとうございます。助手席に乗
っ
ているのが本人です。最後のお願いに参りました。細川護煕。細川護煕。道の反対側からも温かいご声援、ありがとうございます。細川護煕。細川護煕。脱原発。原発が一台も稼動していない今がチ
ャ
ンスです。日本の未来は東京が変える。細川護煕。細川護煕。明日の選挙ではどうぞ、細川護煕、細川護煕を、皆様、何卒よろしくお願いします」
と叫んでいるのを、ず
っ
と聞かされていたことが、バ
ッ
ドかもしれない。選挙カー
はノロノロと走るので、徒歩のこちらとさほど速度が変らず、従
っ
て延々と、
「細川護煕、細川護煕。あたたかいご声援ありがとうございます。助手席にいるのが本人です。ありがとうございます。明日の投票では細川護煕。細川護煕。どうぞよろしくお願いします」
である。
ガラスの檻を見るに、おそらく最初のうち、檻の中には本人、細川護煕が入
っ
て手を振
っ
ていたのであろう。だがそのうち寒さに耐えかね、助手席へ移
っ
て、膝に毛布を置いて、そうして通行人に手を振るに至
っ
たようである。
「ありがとうございます。ありがとうございます」
などと、おばさんの叫び声の合間、頼りないマイク音声が聞こえた。
「あり
ゃ
き
っ
と風邪でも引いてるぜ。かわいそうに」
と、そんな想像をしたところで、ああなるほど。これで明日、彼が落選したなら、この数週間のお祭騒ぎも水の泡。連呼もむなしきかぎりなり。
すなわち、
「明日の選挙結果こそバ
ッ
ドエンドに相違なし」
と、最終的にニヤリとしたところ、ところで斯様に細川護煕細川護煕と連呼したこの短文、公職選挙法に引
っ
かるんじ
ゃ
ないのと疑われ、これ最終的に掲載すること能わずとなれば、
「書いても発表できないなら、まさしくバ
ッ
ドエンドですね」
と、隣からニヤニヤ。
(了)
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