TPP(当然ペニスぽろり)
日本が参加することに対して賛否両論の「TPP」とは「当然ペニスぽろり」の略語だという。すなわちTPP参加の条件として「聖域」の問題があり、たとえばそれは食糧自給率が下がると国際関係に何かあ
った際、兵糧攻めになってしまっては困ることから、日本の農業を守らなくてはいけないということである。
「聖域」は他にも様々な分野に存在しているが、特に厳しいのはアダルトビデオのモザイクだ。「洋ピン」と呼ばれたりもするアメリカのアダルト・ヴィデオは無修正が基本なので、もしそれが堂々と日本で販売されることになったら、既存のAVメーカーの被る損失は甚大である。
技術大国とされる日本が世界に誇る製品は多々あれど、たとえばパソコンやスマートフォンについては、DELLやHPにAppleなどといったアメリカの巨大メーカーに打ち勝つことは難しく、日本製のパソコンやスマートフォンにしてもOSはマイクロソフト社のWindowsやグーグル社のAndroidが採用されるため、どうしても日本独自の製品が世界を席巻するようにはならない。
しかし日本の自動車メーカーは今もその安全性などから世界各国で人気を博しており、カーセックスを行うに際して安全日を気にする必要がないから、前述のアダルト業界においても重要な産業である。なおかつ日本のアニメやマンガにゲームといったコンテンツもジャパニメーションと呼ばれ世界中で称賛されている。そのうえ「変態」という日本語は「HENTAI」として海外でも通用するクオリティの高さによって、日本のアダルト産業はジャパニメーションとも深く結びつき一目置かれる存在となっている。
とはいえそれらアダルト系コンテンツを無修正のまま日本国内で流通させるには憲法の修正が必須なため、多くの政治家や識者が侃々諤々の議論を繰り広げてきたことに関しては今さら説明するまでもない。そこで現与党は「2%のモザイク緩和」をターゲットとする政策を打ち出すことにより、株価や円安に良い刺激となったことから景気は回復を兆しを見せている。
けれどもそれはモザイクを必要としない海外のアダルトサイトに太刀打ちできるようなものではないことから、アダルト系コンテンツによって性欲を発散しなければモチベーションを保持できない労働者階級への不満を募らせるばかりで、単なるモザイクの緩和ではなく新しいセックスシンボルの導入が待望されることとなった。
憲法によって永久に戦争を放棄するよう規定されてしまった今の日本において、アメリカのように自己防衛のため拳銃を所持することが出来ないように、無修正の陰部を晒すことは国家の平安を乱す懸念がある。そこで乳首や肛門のように性器に準じるパーツのみ解禁される方式によって、美しい国・日本を取り戻す強い意志が支持されて衆院選は現与党の圧勝という結果を得たわけだが、そこに「TPP=当然ペニスぽろり」への参加が表明されたことによって「売国」の烙印を押されそうな世論の反発を受け、次の参院選はまたしてもネジレ国会に繋がるかもしれないとの論調が高まってきた。
その不安を取り除く名案として注目を浴びているのが「チンポをシッポに置き換える肉体改造論」である。これは本来のオチンチンを尻尾に見せかけるなどといった付け焼刃の特撮技術などではなく、男根それ自体を切除して尻尾に換えてしまう大胆な発想だ。それによって海外では性器と目されることのない尻尾が日本独自のセックスシンボルとして新たなイノベーションを促し、美しい尻尾を獣のように自在に操る『ドラゴンボール』の孫悟空のイメージとも相まって、ジャパニメーション及びアダルト産業の破壊的なグローバリゼーションを齎すこととなる。
男のイチモツは尻尾化によってモザイクを必要としなくなるが、次に必要なのは女性器である。こちらも他の動物がそうであるようにクリトリスを尻尾にしてしまえば、男女の営みは尻尾同士を絡め合うものとなり、それによってゲイやレズビアンあるいはクィアと呼ばれたりするセクシャルマイノリティにおいても、全く同じ方式の「交尾」として行われるようになることから、性をめぐる様々な制約から解き放たれることが予想される。
この未来的とも言える「尻尾補完計画」が今すぐ実現可能となった背景には、我が国の同胞がノーベル賞医学・生理学賞に輝いた「iPS細胞」を用いる再生医療の応用によるものであり、そういった経緯を鑑みるに、将来的には海外のアダルト産業においてもモザイクを必要としない「尻尾による交尾」がグローバルスタンダードとして広まるだろうことは断固として間違いない客観的事実である。なお国民の代表者たる我ら与党の国会議員は既にその全員が尻尾化を施されており、その機能的かつ甘美なイニシエーションによって、かつてない極上のオルガスムスが得られることを、腰が抜けるほど何度もやりまくって確認済みである。(了)