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空人
muomuo
投稿時刻 : 2014.08.02 20:54
字数 : 3669
5
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コメント
2014.08.09 22:19

※ このコメントには、作品の展開や結末に関する内容が含まれています。
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死刑の方法がよくわからないというのがちょっとありえないんじゃないだろうかと思いました。雰囲気がよくおもしろかったですが、オチがなんであるのかはわかりませんでした。わかればもっとおもしろくなるのか、ただこの世界を書いて終わりなのか。
2014.08.10 01:41

※ このコメントには、作品の展開や結末に関する内容が含まれています。
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 コメントいただきありがとうございます。死刑の方法が部外秘のまま制度化する……というのは確かに現実的でない気もしていたので的確に弱点を衝かれた感じですが、現実の執行手順が公開されたのもつい最近でしたし、なくはないかなと押し切って書いてしまいました。なお、内部的には手順自体は確立していながら、その解釈を間違えたまま動き出してしまったという設定ですが、これ自体も非現実的だったかもしれません……。


 他にも多くの方にコメントいただき、この場を借りて感謝申し上げます。
 なお、解説が必要だとのご意見をいただくほど多義的に映ってしまったのは単なる技術不足でして、今回はリドルストーリー風のオチをつけたつもりは全くありませんでした……。どこがどういう解釈につながったのか、あとでじっくり宿題として検証させていただきたいと思います。

(以下、大まかな解説です)
 構造的には「精神死刑は事実上の記憶喪失でしかなかった。記憶喪失の間に生じた意識(“良心”と言えなくもない存在)同士が恋物語を紡ぐけれど、元の記憶の持ち主に呑み込まれて消失してしまう」という話なので、不在が生み出した存在が結局不在に帰してしまう……という抗えない運命の中の悲劇的恋模様を描いたつもりでした(ロミオ~とは違って精神的な死で終わりますが)。ですので、恋文は“ナオキ”と“美き”の間で交わされた設定ですし、名前表記の変容は“美き”が先に呑み込まれて「美樹」に戻ったことを表したつもりでした。美樹のほうは“美き”の記憶の名残があるため、元の死刑囚そのものには戻らずにどこか“良心”の影響を受けてしまい、悪女染みた「妖艶さ」が「清楚」に映る素地も生まれた設定です(いつまでその状態かは不透明ですが)。最後の“ナオキ”のほうは正に入れ替わりが起こっている瞬間に記しているため意識は混淆状態で、純粋な“ナオキ”でも「直樹」でもない設定です。そのため何となくですが、自分の行く末と“美き”の不在という事態を悟ってしまっています。ですので、「思い出してしまう」というのは死刑囚である直樹の記憶であり所業であり自己同一性ということになります。そして、どこから来てどこへ行ったのか誰にも分からない二人の物語を唯一書き留めた書物自体の行方もまた、分からなくなるだろうことを暗示して幕引きとしてあります。
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