てきすとぽい
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第21回 てきすとぽい杯
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携え帯びる
(
茶屋
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投稿時刻 : 2014.09.20 22:42
字数 : 605
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携え帯びる
茶屋
誰かの携帯電話が鳴
っ
た。
その場にいた皆がそわそわし始めたのだけれども、着信音に聞き覚えがないのか、誰も出ようとはしない。
しばらくなり続けるので、幾人かの人は携帯を取り出し確認している。
でも、や
っ
ぱり違
っ
たようで、皆携帯をしまう。
携帯は鳴りつづける。
奇妙にゆがんだ音色の着信音。
そしてバイブレー
シ
ョ
ンの振動。
一向に鳴りやむ気配はなく、誰も電話に出ることはない。
午後の陽ざしが照り付け、汗が流れ出る。
誰も話し出そうとはしない。
沈黙の中に携帯の音は鳴りつづける。
鳴りつづけ、鳴りやまない。
もう、どれだけの時間が過ぎたかはわからない。それでも携帯が止むことはない。
延々と携帯は誰かを呼び出し続ける。
留守番電話につながることもなければ、諦めることもない。
電話は鳴りつづける。
音が次第に頭の中に忍び込んでくる。浸透してくる。耳にこびりついて離れなくなる。
ああ、これは駄目だ。
不快感に耐えきれず、立ち上が
っ
てその場を逃げるように去る。
それでも、携帯の音が追いかけてくる。
耳を離れてくれない。
頭から離れてくれない。
追い立てられるような焦燥から、己の携帯を見直すが、やはり自分の携帯からな
っ
ている呼び出しではない。
思わず電源を切るが、音は鳴りつづける。
止めてくれと叫んでも、音は鳴りやまない。
携帯の音は鳴りつづける。
いつまでも、どこまでも。
逃げ場なんてないんだよとでも言うかのように。
僕らは逃れることなんてできないんだ。
決して。
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