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運命の恋
 投稿時刻 : 2014.10.27 23:40
 字数 : 800
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運命の恋
渡辺一斗


埃だらけの慎也の車に、「バカ」と涼子は指で書いた。

それは、慎也に振られた涼子の気持ちとは裏腹で、本当は「愛していた」と書きたかた。他の彼女の元へ急いでいた慎也は、気にも留めずにタイヤを軋ませて走り出した。

冷たくされた涼子は、一時期、落ち込んでいたが、気持ちを切り替えた。
「いい女になて見返してやる」
そんな気持ちを抱いた涼子は、自分磨きに力を入れた。間違た方向で。

休みの日にはエステに通い、フンにも気を使うようになた。慎也との想い出が詰また2Kの安アパートから、3LDKの賃貸マンシンへと引越しもした。出かける時は、いつも洒落た服を着てブランド品のバクを持て出かけ、近くのコンビニに行くにしても、部屋着で出かけるような真似はしなかた。
看護師をしている涼子にはそれなりの財力があたせいで、「いい女になるための自分磨き」を履違えていたのである。

涼子の部署は整形外科だたので、入院患者も若い連中が多かた。退院後に、涼子に会うために「同室患者の見舞い」を装てくる者もいたが、涼子は鼻にも掛けなかた。
「いつか慎也が自分の元に戻てくる」そんな気持ちが強かたからだ。

休みの日に研究発表の資料をまとめていた涼子は、必要な資料を忘れてきたことに気が付いた。病院まで徒歩で10分足らず。涼子は部屋着のまま、サンダル履きで病院へと資料を取りに向かた。

病院の入口近くまで来ると、パンとクラクシンの音がした。振り返るとブリテグリーンのスポーツカーが涼子の近くに止また。
磨きこまれたウンドウが下がると、「よう!久しぶり!にしても、相変わらずだな」と、運転席から男が声を掛けてきた。慎也だ。以前にも増して、遊んでいるようだ。

この時、涼子は気が付いた。「自分磨き」が無駄だたこと。慎也が自分の傷心を何とも思ていない事。そして、「結ばれることのない運命の恋」だたことに。
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