てきすとぽい
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第24回 てきすとぽい杯〈紅白小説合戦・紅〉
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Vampire
(
茶屋
)
投稿時刻 : 2014.12.13 22:26
字数 : 1415
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Vampire
茶屋
キ
ャ
ンドルの灯りが、幾重にも揺れている。
境界を仕切るキ
ャ
ンドルが風に吹かれるたび消えてしまいそうで心もとない。
幾度も夢に見た景色だ。
予感はあ
っ
た。
予想はしていた。
今にな
っ
て思えばあれは予知夢だ
っ
たのだろう。
今まで起こ
っ
たことは知
っ
ている。夢で見たとおりだ。
これから起こることも知
っ
ている。夢で見たとおりになるだろう。
だけど、この出来事に抗うことなどできるのだろうか。
それとも為すがまま、夢の行き着く先へと突き進んでしまうのだろうか。
それは突然や
っ
て来た。
目の前に唐突に突き出される色とりどりに彩られた花束。
「あなたは運命の人だ」
長身で色白、どこか薄幸そうだがその瞳に宿る意志はどこか力強い。
そんな彼の姿に見とれてしま
っ
ていたが、慌てて現実を見直す。
何だこの男は突然現れて花束を持
っ
て、運命の人がどうとか言い出す。
少女漫画だ
っ
てあり得ない展開だ。
現実は小説よりマンガより奇なり。あまりに奇すぎて奇々怪々。もはや頭は大混乱で、どうしようもなくあわあわあわとするばかりだ
っ
た。
「僕と一緒に来てくれませんか」
彼は優しく微笑む。
だけどこれ、どこかで見たような気がする。
そうだ夢。
これはなんども見た夢だ。
私は夢の中にいる。
私は彼についていく。
これからに期待を胸を膨らませながら。
そしてどこか漠然と不安を覚えながら。
そう。これを何度も経験してきたようなきがするのだ。
何度も見てきた夢という形で。
彼は館に住んでいる。
まさかこの街にこんな館があ
っ
たなんて予想外だ。
館には蔦がそこらじ
ゅ
う貼
っ
ていて、古びているというか寂れていて、歴史を感じるといえば聞こえはいいが、かなり古い建物だ。
導かれるまま、私は彼の館へと入
っ
ていく。
「ようこそ。僕のフ
ァ
ム・フ
ァ
ター
ル」
そう言
っ
て彼は微笑む。
影のある笑みだ。
そしてどこかゾ
ッ
とする甘美さを併せ持
っ
ている。
もう、逃げ出せない。そんな不安が首をもたげてくるが、もう私は彼に夢中だ。
ああ、悪夢だ。
もう逃げられないのだ。
ああ、その飲み物を飲んではいけない。
薬が盛られているんだ。
眠りから目覚めると、未だ夢の続きだ。
両手両足を鎖に繋がれ、何かの台に載せられている。
慌てて飛び起きようとするも、気だるく、身体がついてこない。
揺らめく蝋燭の灯の中で彼はぞ
っ
とするほど魅惑的な笑みを浮かべている。
手には冷たい光を放つ刃物を持
っ
ている。
「目覚めたかい
……
運命の人」
私は恐怖のあまり声を出せない。だが、どこかこの情景に興奮している自分がいる。
望んでいたの?
こんな状況を。
優しく殺してくれる人を?
殺すほどに愛してくれる人を?
「君は永遠になるんだ」
彼の歯には牙のようなものが混じ
っ
ている。
吸血鬼。
美女を攫う黒衣の伯爵。
「永遠に僕とともに」
キ
ャ
ンドルは魔法陣を描いている。
いつも夢で見てきた光景。
だが、これは現実だろうか。
それとも何度も見てきた夢だろうか。
未だ私は夢の中?
それとも今度こそ現実にな
っ
た夢?
キ
ャ
ンドルの灯りが、幾重にも揺れている。
境界を仕切るキ
ャ
ンドルが風に吹かれるたび消えてしまいそうで心もとない。
幾度も夢に見た景色だ。
予感はあ
っ
た。
予想はしていた。
今にな
っ
て思えばあれは予知夢だ
っ
たのだろう。
今まで起こ
っ
たことは知
っ
ている。夢で見たとおりだ。
これから起こることも知
っ
ている。夢で見たとおりになるだろう。
だけど、この出来事に抗うことなどできるのだろうか。
それとも為すがまま、夢の行き着く先へと突き進んでしまうのだろうか。
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