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第25回 てきすとぽい杯〈てきすとぽい始動3周年記念〉
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ハッピーバレンタイン
 投稿時刻 : 2015.02.14 23:12
 字数 : 935
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ハッピーバレンタイン
松浦(入滅)


「ああああああああああ。大変なことにな……
 深夜と呼ぶにはまだ早い繁華街で、僕の頭から一斉に血が引いていく。
「あれ? ○○くん、顔色悪いけど大丈夫?」
 隣を歩く、職場の同僚がふわふわとした声でそんなようなことを言た気がする。けれどその声はまたく耳には届かず。いや、届いていても脳で処理されることはなかた。
「だめじうぶだよ……
「ええー、それどちなの?」
 酒の力とはこのように恐ろしいものなのだ。僕がどもているだけなのに、バカ受け。そして明日には僕がどれだけバカなやつだたかという陰口の燃料になる。
 恨む、今日のことはずと恨むぞ政夫!
 今日というとんでもない日を選んで、こともあろうか新居に僕を呼びつけたばかりか、奥さんの友だちなる女性まで呼んだ罪は重い!!
 しかも、やつは宴もたけなわで僕とこの女性を宅外に放り出して奥さんとムフフフフ……
「ね、そこの喫茶店で少し休んで行かない?」
「え?」
 なにか言たぞ、この人。
 会話というのはヒヤリングの力も大切だが、推測も重要だ。
 その人の発言は、あまりに突飛。予想外。
 なにを言われたのか、すぐには理解できなかた。
「明日が休み?」
「違う違う。そこの喫茶店でお茶しよて言たの」
 な、なんですと!!
 この人は……、この人はなぜ僕がプリペイドをチジしたばかりだということを知ているのだ!?
 いや、それは問題ではない。
 この人は今日の夕食をあれだけ食べて、割り勘で済ませ。さらに珈琲まで……
 おそらく、夕食の時に僕がカフインは苦手だと言たことを覚えていて、ここでコーヒープに入れば割り勘負けしないと踏んだのだ!!
「あの、録画予約を忘れた深夜アニメがあるので帰ります」
 僕は全力で地下鉄の入り口へと走た。


「あら? ○○さん、顔色悪いけど大丈夫ですか?」
 巡回してきた介護職員が、僕の腕に血圧計をセトしながら社交辞令みたいなことを言う。
「少し……、むかしのことを思い出していた」
「そうですか。今日はバレンタインですからね。奥さんとの思い出かしら?」
「いや……。僕はね、若い頃に――
 僕はあの日、淡い希望を絶望に置き換えられてたまるものかと戦た。自分自身と戦たときのことを全部吐き出しそうになてやめた。
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