短歌小説コンペ2.0
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夜道にご注意
茶屋
投稿時刻 : 2015.05.09 15:38
字数 : 388
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夜道にご注意
茶屋


月陰る 暗き夜道を 歩く影 足音だけが コツコツ響く
人影の 絶えたる道を 一人行く 淋しき帰路は いつものことだ
街灯の 差したる光 羽虫舞う 遠くを走る 電車の音
慣れた道 いつもの道だ だけれども 何かが違う 違和を感じる
気配がし ふと振り返る 何も無し 疲れていると 思うことにす
ぼそぼそと 聞こえるような 話し声 耳を澄ませば 側溝の水
安堵して ため息一つ つくけれど ふと耳に入る 他人の足音
己とは 違う足音 段々と 近づいてくる 引きずるように
足早に 過ぎ去ろうにも 一向に 離れぬ気配 近づく気配
直ぐ後ろ 誰かの息を 背中に感ず 何かを言て いるようだ

顔返せ 顔を返して 顔返せ 顔を返して 返して顔を

包帯を ぐるぐる巻いた 怪人が 不気味に光る 刃振り上げ
ぎりぎりで 避けて咄嗟に 蹴りあげる 怯んだ隙に 慌てて逃げる
逃げ切れた 肩で息をし 鍵かける 愛しの我が家 安全地帯
手を洗い コプに水を 注ぎ見る 鏡に写る 己の顔 
この顔は 気に入ている だからこそ 返すわけには いかないのだよ
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